主人公を演じた映画『怪物』の衝撃から3年余り。石原裕次郎新人賞を受賞した『国宝』とともに、アカデミー賞候補になったフランスアニメ『ARCO/アルコ』(公開中)で主人公の少年・アルコの吹替えに挑戦した黒川想矢さん。

 今回のインタビュー後篇では、天才的なアドリブ演技や将来のビジョンなどについて伺いました。

インタビュー前篇はこちら


『国宝』でカットされてしまったシーンに驚き!

――2025年の6月に公開され、現在も公開中の『国宝』ですが、今だから言える本編でカットされてしまったシーンはありましたか?

 現場で生まれたシーンも結構ありましたし、台本にちょっとしか書かれていなかったのに、バーンと広がったシーンもありますし、カットされてしまったシーンはもめっちゃありましたね(笑)。丸ごとカットされているシーンもあって、映画を観たときに「えー!」って驚いてしまいました(笑)。

――『国宝』撮影後には、劇中で披露された演目「藤娘」をすべて習われたり、日舞を習われていたそうですね。

 「まだ『国宝』の世界にいたい」というか、しっかり最後までやり遂げたいという気持ちが強かったんです。でも、最近は忙しくて、日舞のお稽古になかなか行けていません。お稽古着が稽古場に置きっぱなしだったりするので、できるだけ早く行きたいと思っています。

――2025年は天体観測に魅了されていく中学生・真宙役を演じた『この夏の星を見る』も公開されました。下校シーンなど、その天才的なアドリブ演技も、とても印象的でした。

 ありがとうございます! ちょっと変な話なのですが、自分の中でちょっとした抵抗というか、事前に「こう演じたい」「こうセリフを言いたい」と考えることを、あまり良くないことだと思うようにしているんです。俳優としてのいちばんの仕事は、監督さんの頭の中のものを再現することだと思っているので……。

 だから、事前に「このシーンは、アドリブでやってやろう」みたいなことは全くないですし、そもそも、アドリブをやっていいのかも分からないですし。だから、そのときの気持ちとか雰囲気でやっているのですが……やっぱり全然分からないです(笑)。

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