作品に合わせて、自分をカスタマイズしていきたい

――フランス産アニメならではの独特な雰囲気は、どのように捉えましたか?

 普段、見慣れている日本のアニメと違っていることもあって、ずっと目が離せませんでした。街の風景だったり、建物だったり、見たことがないものばかりなのに、違和感なく、すんなり入ってきて、とても素敵だなって思いましたし、感情的な音楽も新鮮でした。

 いつも実写の映像で演じているときは、周りの雰囲気から受け取ったものを返していくのですが、アニメの吹替えの場合は映像を見て感じて、返していかないといけないですし、アルコが見ている未来世界など、いろいろ想像力を掻き立てられることが面白かったです。

――『国宝』は「第98回アカデミー賞」において、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の候補になりましたが、『ARCOアルコ』も長編アニメ映画賞の候補になりました。黒川さんにとっては、どのような作品になりましたか?

 『FLY!』のときは、一人でのアフレコ収録で、ほかのキャストのみなさんが録音したものに、僕の声を当てていったんです。今回はイリス役の堀越麗禾(四代目 市川 ぼたん)さんと一緒に掛け合いしながら収録できたので、それが挑戦的だったかなと思います。

 実際に会話をしながら感じるものもあるし、映像を見ながら感じるものもありました。頭の中で混乱しそうにもなりましたが、いい経験をさせていただきました。

 でも、堀越さんは、『国宝』を観てくださったのかな? 収録の合間に、そのことを聞きたかったのですが、もしダメ出しされたら怖かったのでやめました(笑)。

――過去のインタビューで「楽しく仕事をしたい」「95ぐらいで入りつつ、残り5は客観視できるような俳優さんになりたい」と言われていた黒川さんですが、将来的に、どのような俳優を目指したいですか?

 そもそも、どこまで演技をしていいのか分からないですし、嘘がつけないタイプなので、嘘をどこまで自分の中で消化すればいいのか分からないんです。

 でも、『ARCO/アルコ』は自分の声をダイレクトに聴くことによって、必然的に客観的になることができました。とにかく、いろんな作品に出会うことで、それに合わせて、自分をカスタマイズしていきたいです。もちろん、それを楽しみながらできたら、いちばんいいと思っています。

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黒川想矢(くろかわ・そうや)

2009年12月5日生まれ。埼玉県出身。5歳より芸能活動を開始し、2023年『怪物』の主人公に抜擢され、「第47回日本アカデミー賞」新人俳優賞や「第66回ブルーリボン賞」新人賞などを受賞。2025年公開の『国宝』『この夏の星を見る』では、「第17回TAMA映画賞」最優秀新進男優賞、「第38回日刊スポーツ映画大賞」石原裕次郎新人賞を受賞。舘ひろしと共演した『免許返納!?』が6月19日公開予定。

『ARCO/アルコ』

気候変動により荒廃が進んだ2075年の地球。10歳の少女イリスは、ある日、空から虹色の光を放ちながら降ってきた不思議な少年を助ける。その少年アルコは、虹色マントの力によりタイムトラベルが可能になった遥か未来から不時着したのだった。そしてその不思議なマントを手に入れようと、謎の3人組が迫ってくる。イリスとアルコは、追っ手を振り切りながら、元の時代に戻る方法を探す旅に出る。冒険の果て、二人が目撃する衝撃の未来とは――。

監督・脚本:ウーゴ・ビアンヴニュ 声の出演:黒川想矢、堀越麗禾、梶裕貴、山里亮太ほか
ほか 原題:ARCO 配給:AMGエンタテインメント / ハーク
2026年4月24日(金)公開
https://arco-movie.jp/

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