漬けて、混ぜるだけ!

左:お風呂上がりの楽しみは、ビールより水で割った酵素ジュースにレモンを絞った一杯。炭酸で割ってもおいしい。
右:アイスクリームやヨーグルトに原液のシロップをかけて。シロップの果物は取り出してヨーグルトのトッピングに活用。

 材料は季節の果物と、白砂糖だけ。すごく、簡単につくれるところも魅力。コツらしきコツといえば、ぬか床よろしく1日1回、自分の手でかき混ぜるだけ。この手間が、なかなか気持ちがやすらぐものなのです。じかに皮膚に伝わる生き生きとした発酵の具合、立ちのぼってくるあまーい匂い。それにガラス瓶越しのフルーツミックスの様子が、とてもキレイ。幸せって、そんな景色をしみじみ眺めるときじゃありません? そのときどきでフルーツの色合わせも、おもしろくって。金柑やハッサクなど柑橘系の果物でまとめたり、ブルーベリーの濃紺をアクセントにしたり。フードカラーのセンスも磨かれる気がします。

 出来あがったシロップは炭酸や豆乳で割ったり、いろんな飲み方が楽しめます。わが家では夫婦そろって緑の野菜ジュースにプラス。石村家の健康ドリンク、いちだんとパワーアップしました!

石村由起子 (いしむら ゆきこ)
奈良在住。全国からファンが訪れるカフェギャラリー『くるみの木』と、ミシュラン一つ星のホテルレストラン『秋篠の森 「なず菜」』のオーナー。
暮らしを楽しむ祖母の知恵にくるまれて育ち、学生時代には染織を学び、民藝を入口に手仕事に精通。自らのショップで展開する、暮らしの道具のセレクト眼にもファンが多い。さらに近年は、生活プロデュースの視点での商品開発、街おこしプロジェクトなど幅広い分野からオファーが引きもきらない。著書に『私は夢中で夢をみた』(文藝春秋)、『奈良・秋篠の森「なず菜」のおいしい暮らしとレシピ』(集英社)など多数。HP 「くるみの木」 http://www.kuruminoki.co.jp

Column

石村由起子の暮らしの“ツカミドコロ”

石村由起子さんといえば、人気のクラフト作家や料理家、エッセイストなど生活美学のある人たちが一目おく、暮らし上手です。
祖母から受け継いだ知恵と礼節、愛するモノを捨てずに活かすワザ、「これだけは」と手をかけてきた習慣など、多忙な日々のなかでも心豊かに暮らすために石村さんが「大切にしてきた」視点とアイディアを、CREA WEB読者に指南。年齢をこえて共感できるチャーミングな暮らし術を、プライベートフォトを添えて綴ります。

2014.07.19(土)
文・構成=おおいしれいこ
撮影=石村由起子