【 ザ・ペニンシュラマニラ】「フィリピン最高級のダイニング」に「名物クリスマスツリー」も。“首都の王冠に輝く宝石”と称えられる名ホテルの楽しみ方

深い緑の中で心身を整えるウェルネスリゾート

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　マニラでの街歩きを堪能した後、ふとフィリピンの豊かな自然の中に身を置きたくなり訪れたのは、「ザ・ファーム・アット・サンベニート」。マニラから車で90分ほど南へ向かったバタンガス州リパシティにある、人気のメディカルウェルネスリゾートだ。

　遠景には雄大なマララヤット山脈、周囲には鬱蒼としたジャングルが広がり、51ヘクタールもの広大な敷地に70のスイートとヴィラ、ヴィーガンレストランをはじめとするダイニング、オーガニック菜園、スパなどが点在する。

　ここでは、医師やセラピスト、栄養士、フィットネスコーチ、ヨガインストラクターなどのスタッフがチームとなり、カウンセリングを行いながらゲスト一人ひとりに適したプログラムを作成してホリスティック・ウェルネスを目指す。

　大自然のエネルギーがそのまま心身に満ちてくるような環境と、科学的根拠に基づくメディカルセラピー、心身を整えるヨガプログラムやトリートメント、そしてオーガニック野菜を主とするヘルシーな食事。木の香り漂うヴィラでぐっすりと眠り、鳥の鳴き声で目覚める朝。そんな時間を過ごしたゲストは、ここを去るころ、自分の中に積もっていた澱のようなものが消えていることに気づくだろう。喧噪の中に暮らすマニラの人たちにとって、このリゾートは真のヒーリング・サンクチュアリとなっているのかもしれない。

　旅を終えてニノイ・アキノ国際空港に向かい、ラウンジに落ち着いたのは日も暮れ始めるころ。日本に向かって飛び立てば、マニラから羽田まで4時間半ほどだ。熱いコーヒーを飲みながら、改めてマニラという街を思い返す。歴史、文化、食、そして人の優しさ。どれもがこれまで深く思いを及ばせたことのないものばかりだったような気がする。そしてこの街を知ることで、これまで直視してこなかった日本の歴史にも、もう一度目を向けることになった。他国を旅するとは、もしかすると、知っているようで知らない自国を改めて知ることなのかもしれない。そんなことを思わせてくれた、マニラの旅だった。

CREA Traveller 2025年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。