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 鎌倉駅から徒歩5分、地元民から通称“レンバイ”の名で親しまれる「鎌倉市農協連即売所」と、併設の「鎌倉中央食品市場」。野菜をおトクに買うことができる市場のほか、イートインできるローカルグルメやハイセンスなセレクトショップなどが集まる、知る人ぞ知る鎌倉観光の穴場です。

 昨年から今年にかけて、アパレルショップや製麺所支店など、新店もオープン。話題が尽きないレンバイの最新事情をレポートします(全4回中の第3回/第1回はこちらから)。


市場の一角で、素敵すぎる「モーニング」を楽しむ

 通称レンバイの名で親しまれる「鎌倉市農協連即売所」の一角。個性あふれる食の専門店が軒を連ねる「鎌倉中央食品市場」の中でもひときわ異彩を放っているのが、天然酵母のベーカリー「PARADISE ALLEY BREAD & CO.(パラダイス アレイ ブレッドアンドカンパニー)」です。入り口には「培養発酵宙造研究所」というユニークな名を掲げ、自家製天然酵母を用い、発酵と培養にリスペクトを込めたパンづくりを行っています。

 こちらでは、すべてのパンに自家培養した天然酵母を使用。鎌倉・浄明寺にある自社工房から届くパンを中心に、店内ではレンバイで仕入れた旬の野菜を使ったピザや、“イマココパン”と呼ばれるその時だけのレアなパンなども焼かれ、タイミングが合えば焼きたてを味わえるのも楽しみのひとつです。

 もともと、市場に集う人たちの休憩所のような場所を目指して造られた店内には、8席の小さなカフェスペースを用意。テイクアウトが主流のレンバイにおいて、朝早くからゆっくり座って食事ができるのは“ここだけ”という貴重な存在です。

 朝8時から11時までは「モーニングセット」を提供。日替わりのパン2~3種類にカルピスバター、平飼い卵を使ったゆで玉子、そしてドリンクが付いた、シンプルながらも満たされ度が高いパンモーニングは、市場で働く人たちにも好評です。

 この日のパンは、ハーブソルトフォカッチャ、クルミやヘーゼルナッツを練り込んだマルチシリアル、スパイスロールの3種類。スチーム付きオーブンでトーストしたパンはふっくらと香ばしく、噛むほどに小麦の甘みが広がります。

 食事系のパンには、卓上にある自家製ハラペーニョオイルが相性抜群。ローストしたハラペーニョの香ばしさとピリッとした辛さがパンの味をぐっと引き締め、また違ったおいしさに出会えます。

2025.07.26(土)
文=田辺千菊(Choki!)
写真=鈴木七絵