この記事の連載
レオ・レオーニ展【前篇】
レオ・レオーニ展【後篇】
レオーニが絵本を通じて伝えたかったこと

第2章「ストーリー(ものがたり)」では、レオーニが絵本で描いたストーリーに着目。『6わのからす』のものがたりを原画で追うことができます。向かい合う壁には、レオーニの絵本がずらり。

「ことばには まほうの ちからが ある」
「はなしあいに ておくれは ないよ」
イタリアで差別的な法令が採択されたことでアメリカへ亡命した経験を持つレオーニ。
話し合うことの大切さを伝えるメッセージは、今の時代にこそ必要な言葉かもしれません。

レオーニのほぼ全作品で和訳を手掛けたのは谷川俊太郎さんです。生涯、平和の大切さを訴え続けた詩人が訳したレオーニの言葉は、優しくも力強い願いが込められています。
レオーニの絵本ワールドを体感できる「レオレオリウム!」

そして第3章では、「レオレオリウム!」と名付けられた、本会場限定のコンテンツが登場します。
特に中央の「空想の庭」はレオーニが幼少期から好んでいたという「テラリウム」をモチーフに、アートユニット・plaplax(プラプラックス)が制作を手がけました。
テラリウムとは、ガラス製の容器に動植物を入れて飼育栽培をする方法で、レオーニは魚や時には小さなワニ(!)などを入れて、独自の世界を作って楽しんでいたようです。
レオーニの頭の中を覗いているような空間を体験

このエリアには様々なオブジェが置かれていて、実は裏側や脇に、レオーニの絵本のフレーズが隠れています。探すのも楽しいですし、お気に入りのフレーズを見つけられるかもしれませんよ。
『シオドアとものいうきのこ』に登場する、「クィルプ」と話す青いきのこたちが多数並んでいます。耳をすませば不思議な音が……?
「レオと石」のコーナーでは、石をこよなく愛したレオーニの『はまべにはいしがいっぱい』の世界を表現。インタラクティブな仕掛けがたくさんあるので、ぜひ体験してみてください。

奥にある水流が流れるように配置されたロングスクリーンでは、『スイミー』の映像が楽しめます。水泡が現れ、スイミーたちが移動するなど、自分が絵本の中に入り込んだ気分に!
2025.07.19(土)
文=宇野なおみ
写真=細田 忠