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大先輩・水谷豊さんとの共演は光栄だった

──2025年2月に公開された主演映画『初級演技レッスン』では、謎めいた演技講師・蝶野を演じられましたが、出演の経緯を教えてください。
2016年ぐらいに、WEB CMで串田壮史さんとご一緒して以来、串田さんの長編初監督作『写真の女』に僕がコメントを出したり、劇場で久しぶりに会ったり、「機会があったら一緒に映画やりましょう」という話をしていたんです。その縁もあって、僕の名前を挙げてくれたという流れです。それで去年4月に10日間ほどという、とてもミニマムな規模で撮影しました。蝶野には人に言えない過去があるので、僕の中では2人のキャラクターを演じるような気持ちでした。
──そして、3月に放送された「相棒23」最終回スペシャル。こちらでは謎の男・浦としてゲスト出演し、あの右京さんと紅茶を嗜むシーンもありました。
水谷さんが監督された映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』以来でした。そのときも同じシーンでの共演はありましたが、どちらかというと監督と演者との関係性に近かったと思うんです。今回はあの「相棒」での2人のシーンだったので、とても楽しかったです。「右京さんと紅茶飲んでる!」という多少の緊張はありましたが、謎の男という設定だったので、それが視聴者の方に分かってしまうといけないなと(笑)。同世代の役者さんと共演するのもいいですが、大先輩と2人だけのシーンを演じさせてだき光栄でした。
──24年には俳優としてではなく、製作/プロデューサーとして参加された『東京ランドマーク』も公開されました。
15年ぐらい前から、一緒に自主映画を作っていた仲間が集まって作った正真正銘の自主映画です。特に出口を決めずに、コロナ禍前の2018年の終わりから19年にかけて撮った映画を世に出すために、自分たちで配給することを決めたんです。主演の藤原季節くんの活躍など、いいタイミングの公開だったと思いますし、劇場さんに出向いて売り込むとか、普段の出演作では経験しないことをやったことにより、改めて「映画は作ったら終わりではない」ということを痛感しました。
映画『「桐島です」』

1970年代、高度経済成長の裏で社会不安が渦巻く日本。大学生の桐島聡(毎熊克哉)は反日武装戦線の活動に共鳴し、組織と行動を共にする。だが、一連の連続企業爆破事件で犠牲者を出してしまったことで、深い葛藤に苛まれる。組織が壊滅状態となり、指名手配された桐島は偽名を使い、逃亡生活をつづけ、ある工務店で住み込みの職を得る。そして、ライブハウスで知り合った歌手キーナ(北香那)が歌う「時代おくれ」に心を動かされ、相思相愛の関係となる。
(C)北の丸プロダクション
7月4日(金)より、新宿武蔵野館ほかにて公開中
https://kirishimadesu.com/
毎熊克哉(まいぐま・かつや)
1987年3月28日生まれ。広島県出身。2016年公開の主演映画『ケンとカズ』で第71回毎日映画コンクール、スポニチグランプリ新人賞など、数多くの映画賞を受賞。主な映画出演作に、『いざなぎ暮れた。』(19)、『サイレント・トーキョー』(20)、『孤狼の血 LEVEL2』(21)、『マイ・ダディ』(21)、『猫は逃げた』(21)、『冬薔薇』(22)、『世界の終わりから』(23)、『初級演技レッスン』(24)、『悪い夏』(25)など。

2025.07.04(金)
文=くれい響
写真=平松市聖
ヘア&メイク=MARI(SPIELEN)
スタイリング=カワサキ タカフミ