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「自分が見たものが誰かの助けになるならば…」

――実際にたつき先生にお会いになってどのように感じましたか。

三木住職 「自分が見たものが誰かの助けになるならば、是が非でも助けねば!」という想いが共通してあったのが感動的でした。

 あとは、予知夢を見るときに“夢の風景を具体的に特定するのが難しい”という部分も共通していました。例えば、たつき先生がとある夢でビワの木を見るも、それが実際にはブドウの木だったことがあったそうですが、私も友人がインドカレー屋の前で事故に遭う夢を見たとき、インドカレー屋だったことは覚えていても、その外観の詳細などはぼやけたままでした。おそらく、夢が伝えたいのはそうした細部ではなく“そこで何が起こるのか”ということなのでしょう。

――気づかれた違いは何かありましたか。

三木住職 たつき先生はご著書の中でも「予言なんてものはできない。あくまで自分が見た夢を分析・解釈しているだけ」と言っておられます。例えばたつき先生は 1991 年の 8 月 20 日に富士山が大噴火する夢を見られて、これは夢判断では“世界恐慌やパンデミックでパニックになる”ということのようです。たつき先生は、今回の騒ぎの発端になる出来事だと解釈されていました。また、2025 年の 7 月 5 日に大災難がやってくる、と話題になっていますが、実際には 2021 年 7 月 5 日にそのような夢を見た、という話です。

 私もこれから起こると思われることを夢で見ることがあるのですが、私の場合は同じような夢をお釈迦様からのメッセージとして捉えています。このあたりの違いが興味深かったですね。

――先ほどお話の中で「三災七難」という言葉が出ましたが、これはどういうことなのでしょう。

三木住職 「三災七難」を語るにはまず、お経における時間や宇宙の考え方をご説明致しましょう。「長阿含経(じょうあごんきょう)」というお経の中には、「四劫(しこう)」という言葉が出てきます。「劫」というのは、数十億年以上とも言われる途方もない長さを示す単位。宇宙はこの「劫」が、星々が生まれる「成劫(じょうごう)」、人類を含む生命が安定的に過ごす「住劫(じゅうこう)」、宇宙が破滅に向かって進む「壊劫(えこう)」、全てが破滅し何もなくなる「空劫(くうごう)」という4つの段階に分かれ、それを繰り返しているのです。

 我々はその中の「住劫」、もう少し細かく区分すると「住劫第九の減」と呼ばれる時代を生きており、この時期には穀物の高騰を指す「穀貴(こっき)」、戦乱を指す「兵革(ひょうかく)」、文字通り、伝染病の流行を指す「疫病(えきびょう)」という「三災」が訪れるとされています。現代の視点で見ても、戦争やコロナ禍、米価格の高騰など、この三災はすでに起きていると解釈することもでき、基本的には避けられないものだとされています。

 一方の「七難」とは、先の三災と重複する内容も多く、経典によって詳細は異なるのですが、先に触れた「薬師経」では、伝染病の流行を指す「人衆疾疫難(じんしゅうしつえきなん)」、侵略戦争を指す「他国侵逼難(たこくしんぴつなん)」、自分の国の中で反逆が起こることを指す「自界叛逆難(じかいはんぎゃくなん)」、先にご説明した「星宿変怪難(せいしゅくへんげなん)」、日食や月食が時期を選ばずに起こることを指す「日月薄蝕難(にちがつはくしょくなん)」、台風や豪雨が時期を問わずに起こることを指す「非時風雨難(ひじふううなん)」、雨が降らない天候不順を指す「過時不雨難(かじふううなん)」の7つとされています。

2025.06.21(土)
文=黒影苑生
写真=志水隆