「悪口ばかり言っている人からは幸運が逃げていく。人の悪口ばかり言う人は狭い世界で生きることになる」と自著で綴るのは、早稲田大学名誉教授の加藤諦三氏。他者への批判に熱を上げる人は何がいけないのか? その人が見落とす「不都合な真実」とは? ニッポン放送の名物番組「テレフォン人生相談」でもおなじみの氏の新刊『人はどこで人生を間違えるのか』(幻冬舎)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

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自分が一番嫌いな人に、あなたは似ているかもしれない
悪口ばかり言っている人からは幸運が逃げていく。人の悪口ばかり言う人は狭い世界で生きることになる。
人は、自分が最も嫌いな人と似ている。学生へ次のようなことを質問した。「自分が一番嫌いな人を想像しなさい」。その人と自分が似ているか? ほとんどの学生が驚いていた。
実は誠意がないのは、まさに誠意がないと相手を責め苛んでいる方の人である。このような人に絡まれると始末が悪い。なぜなら、そのような人と離れようとするとつきまとわれるからである。つまり、そのように相手を責める人は、相手を必要としているのである。自分の心の葛藤を解決するために相手を必要としている。だから相手から離れられない。
自分の心の葛藤を解決するために、今自分は相手に絡みつき、相手を責めているなどとは決して認めない。それが認められるくらいなら、もともとそのような心の葛藤を持たなくて済んでいるのである。それが認められないから相手を責めている。それが認められないから投影をしている。

欲求不満な人は、自分の「心の裏部屋」で生じた感情を唯一の事実と思い込む。ある人の感情が、知らぬまにその環境の解釈に反映されている場合、我々はそれを投射と呼ぶ。このデマは他の多くのデマとは異なり、慎重に事実が報道されてからも消え失せなかった。もっと根深いところに障害がある。感情に深く潜んでいる。
〈早稲田大学名誉教授・加藤諦三「“他人の粗探し”がやめられないが抱える心の闇」〉へ続く


人はどこで人生を間違えるのか
定価 1,034円(税込)
幻冬舎
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2025.05.25(日)
文=加藤諦三