「まさに今こんな経験をしています!!」と反響
このように細部まで作り込まれたキャラクターたちが、読者の共感を呼ぶ大きな要因となっているようだ。
特に印象的なシーンとして、担当編集者は3話でのマサムネと〇〇子のやり取りを挙げる。
「マサムネが『もう俺26なのにフリーターとかどうしよ、将来ヤバいかも』と悩みを打ち明けると、〇〇子が『私、結婚相手とか好きな人だったら、正社員とかアルバイトとか本当に気にしない。もし無職になっちゃっても別れたりしないし』と返す。

そこで『マサムネが本命彼女とセフレで、態度が全然違う』ということが読者には見えていて……。〇〇子のことは、セフレだから雑に扱うことができる。好きじゃないから、カッコつけない。でも、だからこそ自信がなくて悩んでいることを打ち明けられる。〇〇子の言葉が、マサムネ君に届いて欲しい……、と切なくなるシーンなんです」
20代~30代の女性を中心に支持を集める本作。「まさに今こんな経験をしています!!」という同世代層と、「少し前の恋愛が、こんな感じだった……」という30代以降の層からの反響が大きいという。
「弱さを無防備に出せるマサムネ君のことを、つい好きになっちゃいます(やってることはクズだけど)」「あの彼にも本命がいたのかな……?ってこの作品で気づきました」など、読者からの生々しい感想が続々と寄せられている。
アラサー世代の複雑な恋愛事情を赤裸々に描き出す『幸せになりたいマサムネ君』。その圧倒的なリアリティは、読者の心に深く刺さり続けている。

2025.05.21(水)
文=「文春オンライン」編集部