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 建築家・丹下健三の設計で知られる「横浜美術館」が、約3年にわたる大規模改修工事を経て、今年2月に全館オープン。これに先駆けて、2024年11月には館内の無料エリアに横浜を代表する老舗「馬車道十番館」の喫茶室が誕生し、本店で愛されるスイーツをはじめ、美術館限定メニューも登場して話題を集めています。


美術館の無料エリアに、“あこがれの名店”が登場

 みなとみらい駅から徒歩3分の場所にある「横浜美術館」は、みなとみらい21地区のほぼ中心に位置し、観光の合間にふらりと立ち寄れるアクセスのよさも魅力です。

 このたびのリニューアルを機に、誰もが気軽にアートに触れられるよう、無料で入場できる「じゆうエリア」を拡張。その一角に、「馬車道十番館 横浜美術館 喫茶室」が誕生し、憩いの場として親しまれています。

 横浜で1970年(昭和45年)に創業した「馬車道十番館」は、喫茶室を併設したフレンチレストランで、多くの人にとって“憧れの店”でもある、横浜を代表する名店です。横浜美術館の喫茶室は、「じゆうエリア」の開かれた空間に寄り添うセルフサービスを採用。本店と同じケーキやドリンクをよりカジュアルに楽しむことができます。

 インテリアは“十番館らしさ”にこだわり、本店と同じ赤い革張りの椅子が並ぶクラシカルな雰囲気。壁には、銘菓「ビスカウト」の包装紙でおなじみの版画イラストを額装したアートが並び、まるで馬車道の本店にいるかのような気分が味わえます。

 数あるスイーツの中でも、ぜひ味わいたいのが「十番館プディングロワイヤル」。赤レンガを模した四角いプリンを中心に、色とりどりのフルーツとソフトクリームを添えたプリン・ア・ラ・モードです。プリンはやや固めで、昔ながらのしっかりとした食感。とろりとかかったアングレーズソースが、味わいに優雅な余韻をもたらします。ちなみに、ソフトクリームの部分は本店ではアイスクリームが定番。馬車道にある本店を訪れた際に食べ比べてみるのもツウな楽しみ方です。

 ケーキ派には、王道の「ショートケーキ」を。馬車道十番館のショートケーキは、1970(昭和45)年の創業時から愛され続けているロングセラーで、当時、贅沢の象徴だったホールケーキをより多くの人が楽しめるよう、そのまま1人前に仕立てたもの。キャンドルに見立てたイチゴも愛らしく、素敵なエピソードも一緒に味わいたい一品です。

 美術館の喫茶室限定メニューでは、本店のシェフが監修した「ハンバーグプレート」(990円)も人気。また、店内の一角には、横浜みやげの定番「ビスカウト」をはじめ、オリジナルのマグカップなどが並び、横浜らしいおみやげ選びも楽しめます。

2025.05.24(土)
文=田辺千菊(Choki!)
写真=鈴木七絵