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登場人物の名前は墓標からヒントを得た!?

 魅力的なキャラクターがそろう「ハリー・ポッター」。きっとJ.K.ローリングも、名前を考えるのには頭をひねったはず。そこでヒントにしたのが、グレイフライヤーズ墓地の墓標。実は、登場人物の中には、ここに眠る人たちの名前をもじったものも。

 たとえばホグワーツの校長のミネルバ・マクゴナガル教授は、19世紀の詩人ウィリアム・マクゴナガルがもと。「名前を言ってはいけないあの人」のヴォルデモート卿の本名“トム・マールヴォロ・リドル”の元ネタらしき“トーマス・リドル”という名が刻まれた墓標も。

 ただ、ここに眠る人々は登場人物ではありません。トーマス・リドルさんの墓に、ヴォルデモート卿宛ての何百もの手紙や花が供えられ、行政によって撤去されたこともあったとか。迷惑になることは、やめましょうね。

今は休業中の、作品が執筆されたカフェ

 すべてのはじまりといえるのが、初期作品が執筆されたカフェ。当時、J.K.ローリングはお金も無く、ぐずる幼い娘をベビーカーに乗せてエジンバラの街を歩き、いくつかのカフェで執筆を行ったといいます。

 中でも有名な存在は「エレファント・ハウス」。ジョージ4世橋沿いにある、ひときわ目を引く真っ赤なカフェです。舞台にもなっているエジンバラ城を見下ろす奥の部屋で、城を眺めながら執筆を進めていたとか。トイレの壁はファンが書き残したメッセージで埋め尽くされていたそうです。

 けれど、「エレファント・ハウス」は2021年の火災で目下休業中。今はヴィクトリア・ストリートに臨時のお店を構えています。とはいえ、休業中でも聖地は聖地。元祖の店の前には多くのハリー・ポッター・ファンが訪れています。

 もうひとつ知られているのが、ニコルソン・ストリートにあった「ニコルソンズ」。今は「スプーン」という名のレストランに変わっていますが、小さな看板で“その場所”だったことを教えています。

2025.06.14(土)
文・撮影=古関千恵子