40代から気になる“老眼”はどうすれば…?

 細かい文字を読みにくい、手元が見づらい……。40代に差し掛かると気になりはじめる老眼。これは目の水晶体が硬くなることが原因だと平賀さん。

「目のピント調節機能を担う目の奥にある水晶体。この弾力性が加齢によって失われるため、ピントをうまく合わせられず、手元や細かい文字がぼやけて見えます。この水晶体を硬くする一因となるのが紫外線です。そのため、日中に外出する際は、サングラスをかけてUVケアをするといいですよ。おしゃれなものを選んで“かけたくなる習慣づくり”をするのがおすすめです」

 また、食事に気をつけたり、運動を取り入れたりと、生活を見直すことも効果的だそう。

「特に女性は筋肉量が少ないため、老眼を感じやすい傾向にあります。運動や筋トレをして体を鍛えることが、目の健康にもつながります。また、老眼の進行を遅らせるビタミンCを多く含むピーマンやブロッコリー、柑橘類などを意識的に摂取することも効果的です」

自分の体に目を向けよう

 平賀さんが最後に教えてくれたのは、「近視=悪いことではない」ということと、意識の転換の必要性。

「現代人に多い近視は、近くを見ることに特化した視覚特性を持っているということ。デスクワークや細かい作業には向いているので、“短所”じゃなく“強み”として考えていいんですよ」

 そして、目の疲れにも気づくことも大事だと平賀さんは言います。

「夕方に目がかすむのは“疲れてますよ”という体からのサイン。自分の生活リズムや目の使い方を見直すきっかけにして、無理をしないワークスタイルを整えていくと、自然と視力も安定してくるはずです」

 今日からできる小さな工夫を少しずつ。日々の目を労るやさしい習慣が、私たちの暮らし全体を整え、視力の回復に導いてくれるかもしれません。

平賀広貴(ひらが・ひろき)さん

裸眼視力2.0の日本一目がいい博士。株式会社ブライトアイ代表。1980年生まれ。2008年東北大学理学研究科化学専攻博士課程修了。株式会社東芝研究開発センターを経て2023年に独立。12歳から科学者を志し勉学に励むも、なぜ自分だけ視力が落ちないのか不思議に思っていた。特許76件、論文15件、第25回井上研究奨励賞や東芝イノベーションアワードなどの受賞13件。
本業の傍ら、人間の視覚や「見る」とは何かを独自に探求し、目と脳、身体をアップデートし続け、「裸眼視力2.0」をキープしている。JAXA宇宙飛行士候補者選抜試験では、その視力の良さに検査員に驚かれた。現在はこの知見を活かし、脳と健康の指導を行っている。長男と次男も視力1.5以上をキープ中。

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2025.04.17(木)
文=船橋麻貴
写真=aflo(イメージマート)