この記事の連載

『絶対に誰かが見てくれているよ』若い人たちには、そう伝えたい。

――家族やお友達、先輩の存在や、または本や映画などの作品でご自身が癒されたり、影響を受けたりすることはありますか?

 今まで出会ってきた先輩方の存在はやはり大きいですね。俳優同士というのは先輩も後輩も私は仲間だと思っていますが、スポーツチームのような感じで一緒に「ああしよう、こうしよう」というのとは少し違っていて、自分で考えて現場でぶつけ合う感覚。チームプレイではありますが、個々がすごく大事というか。

 だから、見えない糸でみんなと繋がっている感じです。それに支えられている感覚というのはあります。

――その感覚はデビュー当時からありましたか?

 ある程度、大人になってからです。自分の置かれている状況がどれだけ恵まれているかということが実感できるようになり、責任や影響力といった様々なことが分かるようになってからですね。

 誰かが絶対に見てくれているんです。共演する若い俳優さんたちを見ていても思います。悩んだりすることは当たり前にあるだろうけれども、絶対に誰かが見ているし、絶対に一人じゃないからって。

 クランクアップの日などに「これからも応援してるからね」というのは、若い俳優さんたちに伝えます。私もそうやって救われてきたので。孤独が一番怖いですからね。

――悩みを抱えている30代くらいのCREA読者に声をかけるとしても、やはりそういったことを伝えたいと思われますか?

  そうですね。あなたは決して一人じゃない、ということは伝えたいと思います。今まで出会ってきた人たちがちゃんと居てくれるし、これからもたくさんの人に出会っていく。人生のやり直しはいくらでもきくので、怖がらないでほしいですね。楽しいことはたくさんあるというのをお伝えしたいです。

 傷つかない人生なんてありませんし、失敗のない人生もありません。むしろ、そうだったら面白くないですよね。こんなことを娘に話すと、「私たちはママみたいなタイプじゃない」なんて言われちゃいますけど(笑)。

――ありがとうございます! そして、昔とまったく変わらない肌の美しさにも驚きました! その秘訣を聞かせてください。

 この顔のシワとかシミとか、消えないものが「私」だし、娘たちと公園で暗くなるまで遊んだ日々の証なんですよね。“年齢を重ねていくこと”を私は財産だと思っていますし、これからも、どんなシワを刻んでいけるか、とても楽しみにしています。

石田ひかり

1972年5月25日生まれ、東京都出身。1986年俳優デビュー。NHK連続テレビ小説『ひらり』や話題作となったフジテレビのドラマ『あすなろ白書』などで主演を務める。ドラマ、映画、舞台、YouTubeなど、活動の場を限定することなく幅広い分野で活躍。2025年は『アンジーのBARで逢いましょう』(4月4日公開)のほか、『リライト』(6月13日公開)、『ルノワール』(6月20日公開)と出演作の公開を多数控える。

映画『アンジーのBARで逢いましょう』

4月4日(金) 新宿ピカデリー/シネスイッチ銀座 ほか全国公開
草笛光子
松田陽子 青木 柚 六平直政 黒田大輔 宮崎吐夢 工藤丈輝
田中偉登 駿河メイ 村田秀亮(とろサーモン)田中要次 沢田亜矢子 木村祐一
石田ひかり ディーン・フジオカ
寺尾聰
監督:松本 動 脚本:天願大介
配給: NAKACHIKA PICTURES
https://angienobar.com/

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2025.04.02(水)
文=前田美保
写真=佐藤 亘
ヘア&メイク=神戸春美
スタイリスト=藤井享子(banana)