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お弁当作りも大学院進学も『自分でやろうと決めたから』

――1999年に草笛さんと共演されてから25年。そこから石田さんご自身はどのように成長されてきたと思われますか?

 成長なんてまったくありませんが、ただひとつだけ「これをやった」と言えるのはお弁当作り(笑)。

 長女と次女の分を16年間、作りました。もちろん作れない日も、サボっちゃった日もありましたが、娘たちが小学校に入ったときに高校までお弁当だということが判明したんです。そのときに、「これだけはやろう」と心に決めました。

 最後の日は「ちいかわ」のキャラ弁に。上の子にもそうしたのですが、下の子の最後の日も手紙を入れました。彼女たちはきちんとほぼ完食してくれました。彼女たちのおかげでいい思い出になりましたね。もう作りたいとは全然思わないですが、幸せな達成感に包まれています。

――今回の映画は「アンジーと関わり合うことで、周りの皆が自分らしくなっていく」というテーマですが、石田さんにとって“自分らしい”というのはどんなことですか?

 私は自分のためのよりも誰かのために動くことのほうがラクなんです。あれやって、これやってって言われて動くほうがラク。でも、さすがに娘たちも成人したので、これからは自分のために残された時間と体力を使いたいなと思うことは増えました。

――石田さんは俳優のお仕事をされながら大学に行かれて、そのあとは大学院にも行かれています。その原動力はどこから生まれてくるのでしょうか?

  好きなことをやりたいときにやっているんだと思います。私、学校が好きだったんです。学校が本当に楽しくて好きで、“学生”という身分も好きだったので、大学に行きつつ仕事をしていましたね。仕事をしていたからこそ、「私は学生です!」って言いたかったというか、逃げ場をキープしていたというのも半分くらいはあったかもしれません。

 15歳から仕事をしていたので、日数で言うと普通の方の半分くらいしか学校には行けなかったんです。だから、皆さんが「今でも卒論を出し忘れた夢を見る」とおっしゃる話などを聞いて、私もそういうことを言ってみたかった(笑)。いつも仕事が優先だったので、がむしゃらに勉強したという経験がないんですよね。

 これじゃいけないなぁって思って大学院に行きましたが、想像していたより大変でした(笑)。その頃は夫とお付き合いをしていたので、夫に助けてもらいながら修論を書き上げました。担当の教授には「読み物としては面白いけど、賛同はできない」と言われつつも、卒業させていただきました。

――作品の中でアンジーが「ああいう言葉は呪いっていうのよ」というセリフがあります。石田さんがご自身で何かに捉われてしまったり、社会的な“枷”を感じたりするということはありますか?

 難しいですね。でもネガティブな言葉はネガティブなことを引き寄せると思うので、それは気を付けています。でも、つい言っちゃうこともありますし……。気を付けているのは、「無理をしない」ことですかね。身体的にも精神的にも。

 若いときは無理も無茶もしてきましたし、今もするんですけど、昔ほど無理が効かなくなっていて、その影響がずっと残るようになってきました。何事も無理をしない。ほどほどに、ひとつずつ、という感じで過ごしています。

 そう思えるようになったのは、やはり子どもたちの手が離れたからです。お弁当も作らなくていいし、夜に駅まで迎えに行く必要もなくなりました。自分の時間が戻ってきたことと、比例しているかもしれませんね。

――先ほど、「これからは自分のために時間を使いたい」とおっしゃっていましたが、具体的に何をやりたいですか?

 今ハマっているのは語学です。どうしても英語を喋れるようになりたくて、できればセリフを言えるようになりたいです。日本語でも難しいのに英語ではもっと難しいというのは重々承知なのですが……。でもコミュニケーションを取れるようにはなりたいですね。英語と中国語をDuolingoで頑張っています!

インタビュー後篇に続く

石田ひかり

1972年5月25日生まれ、東京都出身。1986年俳優デビュー。NHK連続テレビ小説『ひらり』や話題作となったフジテレビのドラマ『あすなろ白書』などで主演を務める。ドラマ、映画、舞台、YouTubeなど、活動の場を限定することなく幅広い分野で活躍。2025年は『アンジーのBARで逢いましょう』(4月4日公開)のほか、『リライト』(6月13日公開)、『ルノワール』(6月20日公開)と出演作の公開を多数控える。

『アンジーのBARで逢いましょう』

4月4日(金) 新宿ピカデリー/シネスイッチ銀座 ほか全国公開
草笛光子
松田陽子 青木 柚 六平直政 黒田大輔 宮崎吐夢 工藤丈輝
田中偉登 駿河メイ 村田秀亮(とろサーモン)田中要次 沢田亜矢子 木村祐一
石田ひかり ディーン・フジオカ
寺尾聰
監督:松本 動 脚本:天願大介
配給: NAKACHIKA PICTURES
https://angienobar.com/

次の話を読む「『あすなろ白書』の頃は突っ走ってました」15歳で芸能界入りした石田ひかりが、俳優業を35年以上続けてこられた理由

2025.04.02(水)
文=前田美保
写真=佐藤 亘
ヘア&メイク=神戸春美
スタイリスト=藤井享子(banana)