この記事の連載
「おどる夫婦」インタビュー【前篇】
「おどる夫婦」インタビュー【後篇】
相手に興味を持ち続けないと、理想の夫婦にはなれないのかも

――台本を少し読ませていただいた感じでは、親密とは言えない夫婦像だったと思います。森山さんの役との関係性はどのように捉えていらっしゃいますか?
森山さんと一緒に取材を受けたときに、森山さんが「本当に食い違っていて、ダメになるような夫婦だったら、相手と議論を交わすことはない。それができるのは、まだお互いに興味があるから」という話をされていたんです。
なるほど、と思いました。森山さんはご結婚されていて、実際に経験しているからこそわかることもあるのかな、って。
まだ明確な関係性は見えてないのですが、表面的な部分だけではわからないのが夫婦の不思議だなと。でも結局は他人ですから、嫌なものは嫌だとぶつかることも、なかなか交わらないこともあって当然ですよね。
そこをどういうふうに自分が向き合うかで、夫婦としての関わり方も変わるのかもしれないと、森山さんのコメントから思ったんです。
理想の夫婦を求めるのであれば、自分も成長し続けなくちゃいけないし、他人に興味を持ち続けないといけないのかなと思いながら、お稽古を楽しみに待ちたいと思います。

――作品の概要のところにも、「この2人(長澤さんと森山さんが演じる夫婦)が問題を上手く回避したり解決したりするのが苦手」とありました。長澤さんご自身が良い人間関係を築くために意識していることはありますか?
恋人との関係性だけでなく、友達や様々な人との関わりの中で思うのは、みんなそれぞれ時間の流れと必要なものが違うから、嚙み合わないこともでてくるし、理解するのが難しいこともある。
本音の本音まで、すべてを理解することはできないから、ある程度の距離感を持つことで相手を尊重することはできるのでは、と思うことがあります。
その人との関係性が見えなかったり、その先に自分の成長が見えないと思ったときは、その場から離れていいんじゃないかなって。離れることも他人との関係性の中にひとつあっていい選択肢だと思っています。
――今作は「夫婦の10年間」について書かれる作品だと伺っています。長澤さん自身の結婚観や理想の夫婦像を教えてください。
常にご機嫌でいられる“仲良し夫婦”が一番理想ですけど、それは絶対に無理だろうと思うので(笑)、友達みたいな関係性でいられるのはいいなぁって思いますね。友人のような距離感というか、何でも話せて、一緒に趣味を楽しんだり、なんでも楽しく過ごせる人。それが一番の理想です。
※蓬莱さんの「蓬」の漢字は一点しんにょうが正式な表記です。
※インタビューは1月下旬に実施
長澤まさみ
1987年6月3日生まれ、静岡県出身。2000年に第5回『東宝シンデレラ』オーディショングランプリを受賞、同年公開の『クロスファイア』で映画デビュー。2003年に『ロボコン』に初主演、第27回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。2004年には『世界の中心で、愛をさけぶ』にヒロインとして出演し、第28回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を史上最年少で獲得するなど、現在に至るまで数々の映画に出演、受賞歴を誇る。初の舞台出演は2011年PARCO劇場での『クレイジーハニー』。2024年はNODA・MAP『正三角関係』に出演。ロンドン公演を含む全80公演への出演を果たし、大きな話題を集めた。今年6月には映画『ドールハウス』の公開も控えている。
Bunkamura Production 2025「おどる夫婦」
長澤まさみ 森山未來(W主演)
松島聡 皆川猿時 小野花梨 内田慈 岩瀬亮 内田紳一郎 伊藤蘭
2025年4月10日~5月4日、THEATER MILANO-Za、5月10日~19日 森ノ宮ピロティホール、5月24日・25日 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館、5月31日・6月1日サントミューゼ 大ホール(上田市交流文化芸術センター)
ニットトップス 192,500円、ワンピース 423,500円、シューズ 173,800円/すべてジル サンダー(ジルサンダージャパン 0120-998-519)、ブレスレット 239,800円、リング 126,500円/ともにシャルロット シェネ(エドストローム オフィス 03-6427-5901)、ピアス/スタイリスト私物

2025.03.29(土)
文=前田美保
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=スズキミナコ
スタイリスト=吉田 恵