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武道館で待ち合わせる「ペンフレンド」はいないけれど……神尾楓珠の青春時代をプレイバック

 本年、デビュー10周年を迎える俳優の神尾楓珠さん。

 記念すべき2025年の幕開けとなる作品は、桜田ひよりさんとW主演を務める映画『大きな玉ねぎの下で』。神尾さんは本作にて、大学4年の就活生で思うように将来像を描くことができない堤丈流を等身大で演じた。

 思えば、神尾さん自身もデビュー当時からしばらくは将来に希望を持てておらず、丈流の気持ちにオーバーラップしたとポツリと話す。

 それでもこつこつとオーディションを受け、作品をつかみ取り、めげずに自分のできなさと向き合った。挑み続けた結果、神尾さんには途切れずオファーが舞い込むようになったわけで、何とも実り多い10年といえるだろう。

 インタビューでは、映画『大きな玉ねぎの下で』の撮影エピソードに加え、デビューから現在までの軌跡について、バイオグラフィーとともに振り返ってもらった。


意識したのは「かわいらしく!」

――映画『大きな玉ねぎの下で』は、爆風スランプの同名楽曲にインスパイアされた物語です。神尾さんは、もともとオリジナル楽曲をご存じだったそうですね?

 はい。テレビで聴いたことがありましたし、耳なじみのある楽曲でした。リリースされた1985年と時代背景が全然違う部分はすごく新鮮に感じながらも、ストーリー性のある歌詞だから主人公の気持ちはすんなり入ってきたんです。美優(桜田さん)との関係をバイトノートを通して深めるうえでもとても大事な曲なので、撮影中もよく聴いていました。

――丈流と美優は最初は犬猿の仲ですが、距離が近づいていきます。お互いに素直になれず、とてももどかしい関係性に映りました。

 お互い人として気になっているからいがみ合ってしまうわけなんですよね。「この二人の関係性をかわいらしく見せたい」と草野翔吾監督もおっしゃっていたので、どうしたらかわいく見えるかなと試行錯誤しながらやっていました。

――かわいかったです。すごくキュンポイントが多かったですよね。

 えっ、本当ですか? キュン……は今回まったく考えていなかったです(苦笑)。二人がかわいらしく見えたらということだけを考えていました。そっか~キュンしましたか!

2025.01.29(水)
文=赤山恭子
撮影=山元茂樹
ヘアメイク=奥山信次(barrel)
スタイリスト=大内美里