全員の言動と展開が最後にギュッとまとまって、風呂敷がきれいにたたまれるというか……伏線回収というと大げさかもしれない、伏線というには小さいような仕掛けがたくさんあって、それを最後に全部納得して読み終えられるんです。読後感がすごくいい。
『なんで死体がスタジオに!?』は、そのタイトル通り、生放送のスタジオで突然大物俳優の死体が見つかる。だれが犯人なのか推理しながら、「ゴシップ人狼」という番組が進行していきます。死体があるんだから、当然人が死んでいるわけですよね(笑)。でもなぜか爽やかだし、明るく終わる。森さんの本は、その回収の鮮やかさが群を抜いていると思います。
――反中さんは、売り場の作り方も独特です。『なんで死体がスタジオに!?』では、スタジオのミニセットを再現したり、『死んだ山田と教室』ではミニチュアの教室を展開していました。
反中 いかにお客様の目をひくか、ということを意識しています。買うか否か検討してもらうためには、まずは「あれ、なんだ?」と目をとめてもらわないといけない。新刊で出たときに、置いておけば売れていくという本は一握りなんです。目をひくようなキャッチーさ、「あれ?」と視覚に引っかかる違和感を出せるような陳列を心がけています。
うちのお店の他のエリア担当は、字がきれいでポップの作り方がうまかったり、イラストが描けたり、器用な人が多いんですが、わたしはなかなかそれが出来なくて(笑)。どうしようか考えたときに、百均などで買ったアイテムを使ってミニチュアの模型を作ってみたら、意外とうまくいったんですよね。教室のミニセットは、わたしの中のベストだと思っています。凝り過ぎて、「なんでこんなことを始めちゃったんだろう……」と愕然とするときもありますが(笑)。
版元の方も、もちろん帯や表紙でそういう工夫をされていると思いますが、書店に並んだときにはまた見え方が変わります。ポップにいれる情報も、もちろんあらすじはどこかに必要だと思いますが、わたしは「この作家さんはここがすごい!」とか、「いま、こういう流れがあるからこの本を読むべき」とか、自分の読みとか意見を出すようにしています。版元さんが作る宣伝物とは違う魅力を出したいと思っているので、ポップを見て買いました、と言われると本当に嬉しいですね。
――森バジルさんの2作を、紀伊國屋書店新宿本店さんだけでこれまでに550冊売っていらっしゃいます。
反中 森さんはこれからもっともっと売れていく作家だと思います。森さんのことを「紀伊國屋書店新宿本店ご当地作家」としてご紹介しているのですが、もっと売れて有名になったら、「ここから売れました!」とアピールしたいですね(笑)。
――「紀伊國屋書店新宿本店に来たら森バジルを読もう!」というポップを見たら、誰しもが手に取りたくなると思います!(笑) ありがとうございました。
なんで死体がスタジオに!?
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2024.10.28(月)
文=反中啓子