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「機能があるもの」に憧れていたリサ

 「ジャパンシリーズは、リサ・ラーソンが日本の伝統工芸とコラボレーションすることをテーマにスタートしました。2011年に第1弾としてつくったのが手ぬぐいで、和柄の青海波や市松模様にマイキーを合わせてみたら想像以上に相性がよく、リサも喜んでくれました」と話すのは、トンカチのデザイナー・佐々木美香さん。これを機に、リサの念願だった陶器作品にも取り組み、波佐見焼や有田焼とコラボした箸置きや豆皿なども展開し、新たなファンを獲得した。

「リサは常々、“人の役に立つものや、機能があるものをつくることに憧れる”と言っていました。リサは師匠のスティグ・リンドベリから、食器ではなくて置物をつくったほうがいいと言われて、そのまま来てしまったので、夢が叶ったと言って本当にうれしそうでした」(勝木さん)

 その一方で、陶芸に関する知識が一切なく、大きな壁にぶつかった勝木さんと佐々木さん。リサや窯元の職人が話す内容を理解できないと、本当につくりたいものがつくれないと危惧し、陶芸教室に通い始めることに。忙しい合間を縫って、週1回のペースで通い続けるうち、2人とも陶芸の楽しさに目覚め、気付けば3年が経ち、リサたちとも対等に話せるようになった。

2024.11.23(土)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=深野未季、平松市聖(3ページ2枚目)
提供写真=トンカチ