82歳から取り組み、92歳で有終の美を飾った干支シリーズ
ジャパンシリーズの中でも、リサのライフワークになっていたのが、2013年にスタートした干支シリーズ。そもそものきっかけは、東日本大震災の発生時に、佐々木さんと勝木さんが商業施設でリサの陶器作品を展示していて、割れ物が最も不要とされる状況下でブルドッグの置物を見てくすっと笑う人や、通りすがりの人が思わず足を止めて見入っている光景を目の当たりにしたこと。リサの造形のすばらしさを改めて実感し、日本人にとってなじみ深い動物である干支の制作を依頼した。
「1年にひとつずつ原型を制作していました。干支は12年で一巡するので、晩年(2024年)は十二支すべて揃えることを目標に、いつも早めに制作に取りかかるようにしていました。リサが干支の原型を制作し、波佐見焼の職人が手作業で生産するというコレクターも多いシリーズで、2025年の巳で一巡するのですが、リサは亡くなる2ヶ月前の今年1月にヘビの原型を完成させていました。サプライズが好きなリサからの最高の贈り物です」(佐々木さん)
「ジャパンシリーズ」には新作が
干支シリーズが有終の美を飾ったことに加えて、昨年から新たなプロジェクトも始動しているといううれしいニュースも。
「リサといえば数々の猫作品で知られていますが、実はジャパンシリーズでも新たな猫作品を制作中です。リサがジャパンシリーズのためにつくったひとつの猫の原型を用いて、全国の窯元でその産地の土や釉薬を使って、ご当地の特色を活かした猫をつくってもらうプロジェクトです。第1弾の益子焼を皮切りに、猫の原型がリサの代わりに日本中を旅できるよう、全国の窯元に広げていきたいです」(勝木さん)
10月には、リサが人生の最後に手がけた干支シリーズのヘビがお披露目され、早くも話題に。リサの思いを紡ぐ新たなプロジェクトも、猫好きにはたまらないシリーズになりそうだ。
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近日公開予定の短期連載の第3回では、リサ・ラーソンの職人としての知られざる秘話についてご紹介します。
リサ・ラーソンと日本人女性2人の17年間の物語
2024.11.23(土)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=深野未季、平松市聖(3ページ2枚目)
提供写真=トンカチ
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