祭りの日には村ごと移動してきたかのごとく賑やかで、通路ではすれ違うことも困難なほどの人で溢れる寺院も、普段は誰もいない静かな場所です。
バリ島では通常は神様はそこには存在せず、祭りのときには僧侶がマントラを唱えて神を迎えるとその場所に降りてきます。そして儀式が始まり、人々は祈りを捧げます。
その中でもバリ島にとって特別な寺院がいくつかあります。ティルタ・ウンプル寺院は聖なる水の寺院という意味で、島でも由緒ある寺院のひとつです。その名の通り、ふんだんに水があふれる泉があり、そこから水をひきこんだ沐浴場は、何百人もの人が一度に沐浴をできるほどの規模です。
伝説によれば魔王マヤ・ダナワと闘ったインドラ神が大地を杖で叩き、不老不死の水が涌き出した場所とされています。この一帯を流れるバクリサン川流域は、水が豊かでライステラスが広がっており、2012年に世界遺産にも登録されました。
バリ島には他にも、聖なるアグン山にあるブサキ寺院、バリで最も美しいと言われるタマン・アユン寺院、夕陽の絶景ポイントのタナロット寺院などの有名寺院がありますが、観光客でも入り口で布を借り、腰に巻き付ければ寺院へと入ることができます。
小原孝博
1962年静岡県生まれ。日本大学芸術学部写真科卒業。出版社勤務を経て独立。バリ島では40回を超える撮影を行い、写真集『オラン・バリ』をダイヤモンド社より出版。バリ島や江の島などにて写真展も開催。6月10日より日本橋小伝馬町のiiaギャラリーにて写真展「光の音色」を開催予定。フォトワークショップは常時開催中。
Twitter @tak_KOHARA
2014.04.16(水)