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バリ島にいると、どこからか心地よい音が聴こえてきます。
風に揺れる椰子やバナナの葉のこすれる音。ライステラスからはカエルやアヒルの鳴き声。そして祭りの場所から聴こえてくる民族音楽ガムランの音色。
芸術の村と言われるウブドゥでは毎晩、何カ所もの会場で観光客のためにガムランの演奏と舞踊が行われています。王宮の前庭で行うこともあれば、村の集会場などグループにより様々です。落ち着いた演奏をする歴史の古いグループや、若い人達によって作られた芸術性の高いグループなど、1週間毎日見てもすべてを見尽くすことはできません。
演目は古典もあれば新しい作品もあります。子供から大人までが踊る曲もあれば、子供が主に踊る曲もあります。踊りの才能を認められた子供達は、小さな頃から舞台経験を積みながら、しっかりと教育されます。
写真は「クリンチ」という比較的新しいウサギの踊りです。草原でエサを探したり、じゃれあったり、楽しそうに踊ります。まだ10歳にもならない子供達ですが、激しいリズムや微笑ましい仕草に観客は魅了され、曲が終わるとたくさんの拍手を送っていました。
バリ舞踊がすごいのは、どの年代の踊り手が舞ってもそれがひとつの素晴らしい形になることです。
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小原孝博
1962年静岡県生まれ。日本大学芸術学部写真科卒業。出版社勤務を経て独立。バリ島では40回を超える撮影を行い、写真集『オラン・バリ』をダイヤモンド社より出版。バリ島や江の島などにて写真展も開催。6月10日より日本橋小伝馬町のiiaギャラリーにて写真展「光の音色」を開催予定。フォトワークショップは常時開催中。
Twitter @tak_KOHARA
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2014.04.07(月)