溶岩が堆積してできた、世にも美しい“プリン”の山

 歴史に記されている浅間山最古の噴火は今から1300年以上も前のことだそう。その後も火山活動が繰り返されたことにより、浅間山は第一外輪山、第二外輪山から成る3重式火山に姿を変え、その特異な山体や地形は多くの人を魅了しつづけています。

 樹林帯を抜けると、「トーミの頭」と呼ばれる絶景ポイントに到着。すると、噴火により流れ出た溶岩や火山礫が堆積し、プリンのような形をした美しい浅間山が目の前に現れました。なだらかな裾野に描かれた茶と緑のグラデーション、むき出しになった外輪山の地層のミルフィーユを目にすると、どこか違う世界に足を踏み入れたような不思議な感覚がします。

 トーミの頭からさらに20分ほど歩くと、ついに黒斑山の山頂へ。山頂からも目の前に浅間山が鎮座しているので、ランチ休憩をするにはぴったりです。

 景色をたっぷり堪能したら、サクッと下山できるのも手軽なこのコースならでは。ただし、下山時はつい気を抜いてしまい、重大なケガにつながることも多いので注意が必要。

 ガイドの照井さんによると、すべりやすい砂利道を下るとき、とくに登山初心者は恐怖心から“へっぴり腰”になっている場合が多いと言います。すると重心が踵にかかってしまい、余計に滑って転びやすくなるそう。重心を中心に保ち、足裏全体に均等に荷重をかけて着地するように心がけましょう。

2024.09.02(月)
文=平野美紀子