うっすら狂気をはらんでいる役の小日向さんは格別
その昔筆者が小日向文世という役者をハッキリ認識したのは、最近配信されて人気のすごさを改めて知らしめていた『古畑任三郎』(フジテレビ系)のサードシーズン、田中美佐子が犯人の回。
潔癖症で几帳面、さらに妻に対するモラハラとも独占欲ともいえる束縛で、家に縛りつけようとする粘着夫・小田嶋佐吉でした。
当時まだ小日向さんの顔をよく知らなかったおかげもあり、この束縛する夫が本当にいやらしく憎たらしく見え、殺されて当然とすら感じていました(あくまでドラマ内で、の話)。
そのくらいこの役の小日向さんは、そういう人に見えた。
優しい性格のキャラクターや、可愛らしさを感じさせるキャラクターも多くあるのですが(忘れられない愛すべきキャラクターは『木更津キャッツアイ』(TBS系)の公助!)、映画『20世紀少年』シリーズで演じたヤマネ、『真田丸』(NHK)で演じていた豊臣秀吉など、うっすら狂気をはらんでいる役の小日向さんは格別だと思うのです。舞台『国民の映画』でナチス党員のゲッベルスを演じたときもすごかった。
そして今回の灰川十三役は、そういう狂気ともまた少し違う怖さを感じます。
物語は中盤から終盤に向けて二転三転中で、まだ真相はまったくわからない状態。灰川十三と子どもたちの間に何があったのか。さらに小日向さんの凄みが見られることを期待しています。
『降り積もれ孤独な死よ』
毎週日曜22時30分放送(読売テレビ・日本テレビ系)
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2024.08.25(日)
文=斎藤真知子