「本当は色恋沙汰みたいなの聞きたいでしょうに(笑)」30代最後の日々を過ごす、綾瀬はるかの“気になるミライ”〉から続く

 10年間の歩み、そして水着の撮り下ろしも話題を集めている写真集『原色 綾瀬はるか 2013ー2024』。写真集撮影を終えた綾瀬はるか(39)が語る、演じる時に“考えていること”は……。(全3回の3回目/第1回第2回を読む)

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最新主演映画『ルート29』で感じた新鮮だった“盛らない”監督

 2024年の夏は、飛行機に長時間乗って海外に行くより、国内の海で魚と泳いだりしたいですね。シュノーケリングもしたいから、やっぱり沖縄とかかな。子供の頃から海に行くと、勝手に貝を捕ったりして、お父さんに「それはダメ。戻してきて」って言われてました。砂に隠れている変な長いのとか、底にいる魚を見るのが好き。バーベキューは楽しそうだけど、どれが食べていい魚かわからないし、自分で捕った魚を食べたりしたくはないですね。

 今年の秋(11月8日)には、主演映画『ルート29』が公開されます。

 鳥取出身の中尾太一さんの詩集が原作なんですが、読んでみるとなかなか難しくって。脚本も担当された森井勇佑監督とは今作が初めてだったんですが、すごくシンプルで、自分の世界観をしっかり持っていらっしゃる方だと思いました。

 私が演じるのは、人に対して心を閉ざしている清掃員・のり子(トンボ)で、風変わりな女の子・ハル(演:大沢一菜)を連れて旅に出るロードムービーです。ロケ場所は、鳥取の国道29号線。森井さんは、子役の子に「セリフが出なかったら、無理に出さなくていいんだよ」と言うような“演技を盛らない”監督で、本当に新鮮でした。私はもともと演技を盛るのは苦手なんですけど、「自由に動いて」と言われるのもすごく苦手なタイプで。アドリブが得意な役者さんもいますが、私は決まったことをやりたいって思っちゃうんですよね(笑)。

 のり子を演じることを最初は難しいと思っていましたが、セリフを言うタイミングも頭で考えず、自然に任せていたら、だんだんのり子というキャラクターになっていきました。

 やっぱり役に愛情を持っていないとしんどいもので、いつもこの人になりたい、この人に少しでも近づきたいと思いながら演じています。

2024.08.09(金)
文=「週刊文春」編集部