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1ページしか書かずに鍵をなくした日記帳

――もしかして、性格的に振り返ったりとかもされないタイプですか?

 しないですー(笑)! すぐ忘れていって本当に振り返らないから、もったいないと思っていますし、こればかりは本当によくないと反省もしています。人生に深みが出ないと思うので。以前、先輩に勧められて振り返るための日記を書いたんですけど、1ページで終わっちゃって(苦笑)。その日記帳の鍵もなくしちゃったので、本当に向いていないんだなと思ってやめちゃいました。自分の作品を見返すことも、ないんですよね。現在の作品もあまり見られないくらい。

――それはなぜですか?

 緊張しちゃうからです。自分の力を入れたものを見るのはすごく恥ずかしくて。もちろんドキドキしながら見るには見るんですけど……。

――撮影していてカットがかかったら、モニターに見に行く方、行かない方がいらっしゃると思うんですけど、生見さんはどちら派ですか?

 それは気分です(笑)。みんなが見ていたら見に行って、見ないときは見ない。基本は監督が「OK」と言っていればOK、と思っています。

――生見さんが納得できなくて「もう1回やらせてください」とお願いするようなことは過去にありましたか?

 1回だけ、あります。『モエカレはオレンジ色』という作品のときに泣くシーンで泣けなくて、もう1回やってもらいました。その1回だけです。そこからは悔しすぎて「絶対一発で泣いてやる」と思っています。すごく負けず嫌いなので……。あのときの経験は本当に活きていて、「もう1回あの作品を撮りたい」と思うくらいです。

“暗い役”を演じるのは楽しい

――それでは、演じる役柄の選択についても教えてください。パブリックイメージの生見さんは明るいわけですが、例えば『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』の堂前一奈、『日曜の夜ぐらいは…』の樋口若葉などは普段の生見さんとはまったく違い、いわば暗い役ですよね。すごくハマっているのですが、あの系統の役をやるのは好きなんでしょうか?

 うれしいです!! ああいう役を演じるの、めっちゃ好きなんです! 「演技している、演技をやっている」という感じがすごくするので、本当にすごく楽しい。怒りのシーン、つらくて泣くシーンとかも、大変だけどすごい好きなんです。めっちゃ難しいし、泣きが得意とかでも何でもないんですけど、印象に残るような映像が撮れるならと思うんですよね。特にそういうシーンは、監督や現場も全然違う空気になるから、刺激になって楽しいです。

――普段のハッピーな感じのイメージとまったく違う一面を出すことについては、どう感じていますか?

 普段の明るいイメージがあるからこそ、演じたときに皆さんがギャップを感じてくださるのかなと思っています。ベースとして自分でも「ハッピーに生きる、楽しく生きる」ことは大事にしているので、そこをなくそうとは思っていないんですけど、様々な役で新しい一面を見せていきたいと思っています。

俳優、モデル、タレントとして――3足の草鞋が心地いい

――このお仕事が向いていると思う瞬間は、どのようなときですか?

 同じことをするのが超苦手なので、毎日違う仕事ができて、違う人と会えることは自分にすごく向いていると思っています。

――3足の草鞋状態で忙しくて大変ではと思う一方、今の状態がむしろ居心地がいいという感じでしょうか?

 本当にそうです、居心地がいいんです。一つに絞るのは、嫌ですね。いろいろやっているからそれぞれの楽しみ方をわかることができて、たくさんのことを知ることができる。今は女優さんだけになったらもったいないというか、もっと楽しいことに出会えるかもしれないと思うので、全部を大事に走り続けたいですね。

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生見愛瑠(ぬくみ・める)

2002年3月6日生まれ、愛知県出身。ティーン誌を経て、2021年より『CanCam』(小学館刊)専属モデル。女優としても活動し、映画初出演で初ヒロインを務めた『モエカレはオレンジ色』(2022年)で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。過去の出演作に、ドラマ『セクシー田中さん』、『くるり~誰が私と恋をした?~』など。

衣装クレジット

ジャケット 16,500円/ココディール(03-4578-3421)、ワンピース 29,700円/カーサフライン(カーサフライン表参道本店 03-6447-5758)、イヤリング 18,700円、ブレス 9,900円、リング 11,000円/アクセサリー全てジュエッテ 0120-10-6616、サンダル 12,500円/チャールズ&キース(チャールズ&キース ジャパン  https://charleskeith.jp/

劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』
2024年8月2日(金)全国ロードショー

超常能力“個性”を持つ人間が当たり前になった世界で、“平和の象徴”と呼ばれたかつての No.1 ヒーロー・オールマイト。
オールマイトが No.1 ヒーローの座を退いた後も、彼のヒーローの意志は、出久たち雄英高校ヒーロー科に受け継がれた。出久たちが雄英 2 年目の春に勃発した、ヒーローvs 敵<ヴィラン>の全面戦争。出久は恐るべき力を手に入れた死柄木弔と対峙、激しくぶつかり合う。ヒーローと敵<ヴィラン>の双方が大きなダメージを受け、死柄木の撤退により戦いは一旦の終結を見るが、再び相まみえる決戦の時は刻一刻と近づいていた。そんな全面戦争の影響で荒廃した社会に突如、謎の巨大要塞が現れ、次々と街や人を飲み込んでいく。そして出久たちの前に、“平和の象徴”を思わせる男が立ちはだかり……。

■原作・総監修・キャラクター原案:堀越耕平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
■監 督:岡村天斎
■脚 本:黒田洋介
■声の出演:山下大輝(緑谷出久 役)、岡本信彦(爆豪勝己 役)、梶裕貴(轟焦凍 役)、佐倉綾音(麗日お茶子 役)、石川界人(飯田天哉 役)、稲田徹(エンデヴァー役)、中村悠一(ホークス役)、宮野真守(ジュリオ・ガンディーニ)、生見愛瑠(アンナ・シェルビーノ)、三宅健太(オールマイト/ダークマイト 役) ほか

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2024.08.01(木)
取材・文=赤山恭子
写真=平松市聖
ヘアメイク=菅長ふみ(Lila)
スタイリスト=伊藤ミカ