村崎は絶対観てねー、という捻りのないメッセージで締めて撮影終了。

 次のインタビュイーは“平成の中女優”みず。三十八歳。直近出演は連ドラ脇役多数、あとは公開を来週に控えた映画『恋の苑』。主人公の叔母役。

「清水さん、今日はけっこうメイクに時間かけられたらしいですね?」

「ゴールデン特番なんてほとんど初めてなので、ちょっとヘアセットに気合い入れたくて。皆さんより一時間早めに入らせてもらいました。ふふ」

 子役時代から数えて芸歴三十六年目の大先輩だが主演は十年前のよくわからんVシネのみで、基本は脇を固めるポジション。あたしもけっこう映画とかドラマを観てる方だし彼女が出てる作品もそこそこ観たことがあったが、見終わったあとにまったく印象に残らないタイプのバイプレーヤーだという結論。ただ有名どころの役者と共演しまくってるので交友関係は広そう。

 いくつか質問を受けて、当たり障りのないコメントで終了。まあ、この人には集客力、特にSNSでのパワーはほとんどないだろうから番組側も期待してないだろう。

「それじゃあ最後、もち子ちゃん。どうですか、今日はなんとフェス終わりに来てもらってるみたいですが」

「村崎さんが体力空っぽって言ってましたけどぉ、わたしもマジで声出ないかも」

 最後は“大喜利ができる(という触れ込みの)アイドル”町田もち子。二十四歳。直近出演は『Mステ』『バズリズム』や『ゴッドタン』。

 喋ったことはないものの、この子はよくTVで観たことがあったし印象もあった。名前だけは聞いたことあるな、くらいの位置のアイドルグループでお笑い担当、というポジらしい。グループより個人が売れてるパターンだ。

 印象に残っていた理由は簡単で、大喜利ができるアイドル、という売り文句がかいどうひるねのことを想起させたからだ。ひるねのことは今でもたまに思い出す。同じ事務所の戦友。よくバラエティのひな壇で共演したし、あるいはスケジュールを仮押さえされて、結局バラしになったような仕事にひるねがキャスティングされていた、ということもよくあった。喋れる若い女の子、というポジションが同じだったのだ、当時は。

2024.07.07(日)