「少女の壮絶な人生を綴った新聞記事」をベースに描く映画『あんのこと』。6月8日に都内映画館で行われた公開記念舞台挨拶に、主演の河合優実、共演の佐藤二朗、稲垣吾郎、そして入江悠監督が登壇した。
「実話を基にしたこの物語を映画にすることに恐れがあった」
苦難の人生にもがく主人公・杏を演じた河合は、SNS等に寄せられた観客からの感想に目を通していることを明かした。
「実話を基にしたこの物語を映画にすることに恐れがあって、それは今もありますが、皆さんが語ってくれた感想の言葉を見て別の気持ちになりました。その感想から『あんのこと』を観てくださった方々が真剣に考えてくださったことが伝わって来て嬉しいです。今日も満席だと伺い、心から良かったと思っています」
杏や杏を救済しようとする刑事・多々羅(佐藤)と交流する新聞記者・桐野役の稲垣も、「これが事実に基づいた話であるということに衝撃と動揺がありました」と台本を読んだ時の心境を吐露。
そのうえで、「胸が張り裂けそうな思いで、その気持ちを大切に忘れないよう、撮影中は杏ちゃんの心の叫びを一人でも多くの方々に伝えようという思いでした」と撮影時を振り返った。
撮影前に監督が河合へ送った手紙
一方、入江監督にとっても、実話から着想を得た物語は初めて。撮影前には「何度も推敲した」手紙を河合に渡していた。
受け取った河合にとっても、その手紙の存在は大きかった様子。
「この映画をどのような心づもりで撮影しようと思っているのか、どんな態度で作ろうとしているのかなど、大切に触れなければいけない話だからこそ、しっかりと言葉を選んで書いてくれているのがわかる手紙でした。撮影で自分が迷った時にお手紙の内容に立ち返る様な指針を最初に頂きました」
と感謝を口にした。
「生きている!」と感じる瞬間
『あんのこと』は、杏の過ごした「瞬間」を切り取り、「生きる」ということに迫る映画。これにちなんで「生きている!」と感じる瞬間をそれぞれ発表した。
佐藤は「晩酌! 予想通りだった?」と即答。
一方、かなり早起きという稲垣は「朝起きた時に今日も一日始まるな、生きているなと思う。早寝早起きは健康の秘訣。朝起きてペットの世話をしたり散歩をしたり、植物に水をあげたり、部屋の掃除をしたり」と充実のモーニングルーティンを口にした。
そして、河合も「生きている!」と感じる瞬間を告白。
「客席に座って、なんていい作品なんだろうと思っている時。作品を観て涙して声を出したくなる時とか、感動の極致にいる時に生きているなあと自分の生命力を感じる」と実感を込めていた。
映画『あんのこと』は全国公開中。
2024.06.22(土)
文=週刊文春CINEMAオンライン編集部