――オンラインショッピングで、生地の良し悪しまでわかる?
Otomato そこは鍛錬といいますか、嗅覚かもしれませんね。私は1日中、スマホでもパソコンでもネットを見てますから。正直、今の私のような生徒がいたら叱っているレベルです(笑)。
ただ、最近ちょっと困るのは、モデルさんが水の上で浮いてたりとか、日常離れ・常人離れした写真が多いことです。
――外国のモデルの方だと体型も違いますしね。
Otomato そうなんですよ。その上、アクロバットなポージングをされてしまうと、着用感がまったくわからない(笑)。ZARAは生地やアクセサリーに重さがあることも多いし、モデルがかっこよすぎる問題もあるので、店舗に行くことが多いです。
習い事のサロンのような世界が苦手
――物価高で実質賃金も上がらない中、家計にはありがたいファストファッションですが、人権問題もはらんでいます。
Otomato 「強制労働の実態を知らないのでしょうか」といったコメントをもらうこともあります。誰かに低賃金・重労働を押し付けた結果、安価な商品を成り立たせているブランドもあり、その歪さを勉強しながらも、まだうまく整理はついていません。
一方で、私自身もリタイアして収入もあまりなく、貯金を削って生きる中で楽しみを見つけようと思っていて。だから、どんどん買ってどんどん捨てることはしないように気をつけています。
――たとえば、着物といった別ジャンルにシフトしようと思ったことは?
Otomato 憧れはあります。問題は、着付けですね。一度習おうかと思ったんですが、習い事のサロンのような世界が苦手で。
私は1人でカフェ巡りをするのが好きなんですけど、そこで他のテーブルの会話に耳を澄ませていると、習い事帰りの生徒さんたちがたいてい、誰かの悪口を言っていて。そんな状況を見た上で、ご婦人方の中に入ってお付き合いとなると、気を遣うタイプでもあるので、着物に挑戦できないでおります(笑)。
2024.06.10(月)
文=小泉なつみ