――では、教員時代は好きなようにおしゃれを楽しめなかった?

Otomato 規則やTPO的な部分もありますし、ちょっとアクセサリーなんかをすると、生徒から「なんで先生だけピアスしていいの?」と言われちゃうんですね。

――「自分たちは校則でNGなのに、なんで先生だけいいの?」ということですか。

Otomato そうですね。不公平感を感じるのでしょう。というかそもそも、多様性を謳いながら均一性を求めるような矛盾した校則のせいで、生徒たちが不公平感を感じやすいのかなと思います。

教員はやりがいだらけの仕事ではあったが…

――教師として指導していても納得できないところがあった?

Otomato 非常に窮屈でしたね。外国人とのミックスの生徒もたくさんいるのに、黒染めを指導しなければいけなかったときは、ものすごく苦痛でした。この時代において学校だけが取り残されていて、英語を教えていましたけど、メンタル的には完全に鎖国状態だな、と。

 ただ、私が1人で撮影をしていたら、たまたま居合わせた教え子たちが話しかけてくれたんです。仕事は大変でしたけど、生徒たちは本当にかわいいし、希望ですよ。

――YouTuberという働き方にシフトして良かったことは?

Otomato 先ほども申し上げましたが、本当は1人が好きなんです。だから、仕事をしているときはものすごく気を遣って生きていて。教員はやりがいだらけの仕事ではありましたけども、とにかく疲れました(笑)。そういう意味では、今の働き方はマイペースにできるし、自分に合ってるな、と思うんです。

写真=平松市聖/文藝春秋

「教員を早期退職し、50代でYouTuberに」元英語教師の女性は、なぜファッション系インフルエンサーになったのか〈高見えコーデの達人〉〉へ続く

2024.06.10(月)
文=小泉なつみ