ふたりが出会った世界の猫

――岩合さんは世界中で猫を撮影されていますが、自然や文化が違うと猫も違うものでしょうか?

岩合 答えは二つですね。猫はやっぱり猫なんだと思います。でも、人もそうですが、猫も環境によって変わってきます。フランスの猫はやっぱり個性的だし、イタリアのオスの猫は目立つところにいるんですよ。

角田 ミャンマーに行った時、仏教の教え──小さいものに親切にすると、来世で良く生まれる──からなのか、みんなが猫ちゃんを大事にしていたんです。まだ小さなお坊さんなのに、托鉢でもらったご飯をちょっとだけ猫に分けてあげる。自分だってお腹が空いているだろうに、と泣けてきました。

岩合 角田さんは割と泣きますね。

角田 私は泣きすぎなんです。道を歩いていても、ふと、トトが死んだらどうしよう、と思っただけで泣いています。

岩合 それだけ感情が豊かだということじゃないですか? 泣いてばかりいたら、生きるのは大変そうだけど。

角田 ただ泣くだけなので、そこは大丈夫です(笑)。

2024.06.07(金)
文=吉田伸子
写真=榎本麻美

CREA 2024年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

猫のいる毎日は。

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猫のいる毎日は。

定価950円

人生に大切なことを猫は全部知っています。過去や未来ではなく、いまを生きること。必要なときに食べ、好きなときに眠ること。人に気を使いすぎないこと――。そう、猫は最高! それにしても、私たちはなぜこんなにも、この不思議な生き物に魅了されてしまうのでしょうか。1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。