眠気やだるさは? 薬の悩みも工夫で解消
すでに症状が出はじめている人のなかには、アレグラでは充分な効果を感じない人もいることでしょう。
「アレグラは眠気が少ない分、比較的効き目がマイルドで、初期症状の患者に多く使われます。カレーでいうと甘口の分類ですかね。「ジルテック」(一般名セチリジン塩酸塩)や「アレロック」(一般名オロパタジン塩酸塩)なども第二世代の抗ヒスタミン薬で、眠気は市販の薬よりも少ないとされています。それでも効き目がもう一つの場合は、ステロイド点鼻薬を併用したり、ステロイドが配合されている内服薬の「セレスタミン」(一般名d-クロルフェニラミンマレイン酸塩+ベタメタゾン配合剤)を使っていくことになります。人により薬の効果や副作用はまちまちなことがあり、私たち医師は、患者さんの今までの服用歴や症状をきいて、段階的にお薬を出すようにしています」
働く女性にとって、仕事中に眠気が出るのは困りもの。だからこそ早めの治療がオススメなのですが、すでに症状が出ていても大丈夫! 対処法はあります。
「当院では、鼻炎に対する効果だけでなく覚醒効果もある漢方薬「小青竜湯」(しょうせいりゅうとう)と同時処方して、眠気を抑制することがあります」
しかし、患者さん自身でも、眠気のコントロールは可能。おすすめは、カフェインの多い飲み物(コーヒーなど)で眠気をおさえる方法。
もう一つは、飲む時間をずらす方法です。たとえば朝に眠気が残ってしまう人は、夜寝る前に飲むのではなく夕食後や、その前に飲むといいでしょう。
点鼻薬と民間療法は「やりすぎ」注意!
花粉症の人で、市販の点鼻薬を使う人も多いでしょう。でも、使いすぎは要注意です。市販の点鼻薬の多くには、即効性のある、血管収縮成分が含まれています。鼻の粘膜を縮めて、通気をよくするのです。
「市販の点鼻薬は、使い始めにはよく効きます。しかし、1カ月以上長期にわたって使用すると、反対に効き目が鈍くなってきます。効かなくなったと感じたら、すぐ使用をやめてください。効果を高めようと、何度もシュッシュと噴射していると、鼻の粘膜が肥大化して、一日中鼻がつまった状態になります」
これは「薬剤性鼻炎」といわれる症状で、悪化すると、入院をして全身麻酔下で鼻粘膜を切除したり、粘膜の中の骨をとってしまう外科治療が必要になることも……。3割負担でも10万円以上の治療費が必要となるそうです。
塩水を鼻に通す「鼻うがい」も、やりすぎは禁物です。昔からある民間療法ですが、ひんぱんに繰り返すと、鼻の中の粘膜と線毛がすり減って「あかぎれ」状態になり、かえって鼻づまりがひどくなります。
「どうしても気になるときは、お風呂で鼻をかむことをおすすめします。暖かい蒸気で鼻の中が保湿され、鼻どおりがよくなり、鼻水も水分を含み、鼻をかみやすくなります。すっきりとしたところで、お医者さんから処方された点鼻薬をすると、効果が高まり、鼻づまりもなく夜よく眠れると思います」
また、民間療法といえば、甜茶やシソ茶など、「花粉症にいい」と言われるものがありますが、あくまでも補助的なものと考えましょう。
「人によっては効果があるのかもしれませんから、否定はしません。ですが、1週間たっても改善しない場合は、摂取をやめましょう。アレルギーは、特定の成分を摂取すればするだけ症状が改善するというものではありません。逆に、特定の食べ物を少しでも摂取すると、アナフィラキシーショック(短時間でおこる激しいアレルギー反応)を引き起こすこともあります。ときには命にかかわることもあるので、十分気をつけてください」
2014.02.28(金)
文=中津川詔子
写真=Syda Productions / Shutterstock.com