この記事の連載
- スペース・マウンテン#1
- スペース・マウンテン#2
「スペース・マウンテン」と「キャプテンEO」のループ
そんなわけで、満を持して最後の宇宙旅行へやってきた筆者。パークインして最短距離で「スペース・マウンテン」へと向かいました。
今は昔、トゥモローランドに「キャプテンEO」というアトラクションがあった時代には、まず「スペース・マウンテン」に並んで乗り、降りたらすぐダッシュで再度列に並び直して2度目の乗船。休憩に「キャプテンEO」を観て、さらに3度目の「スペース・マウンテン」、最後に締めの「キャプテンEO」と、1回のインパークで「3S2C(3「スペース・マウンテン」+2「キャプテンEO」の筆者造語)」が定番コースでした。
「キャプテンEO」というのは、マイケル・ジャクソンが主演・音楽を務める、3Dショートムービーです。フランシス・コッポラが監督を、ジョージ・ルーカスが製作総指揮を務めるという、今にして思えばとんでもなく贅沢な映像作品でした。
当時はマイケル・ジャクソンの、月の上を歩いているような滑らかなステップ「ムーンウォーク」が大ブレイク。それまで見たことがないようなクールでエキサイティングな歌とダンスに日本中の若者が魅了され、夢中になって真似していました。
そのマイケルが、当時最先端だった3D映像で観られることに、とてつもない未来感を感じたものです。あの映像と「スペース・マウンテン」の宇宙旅行はまさに、近未来の象徴ともいえるものでした。
「Future(未来)」ではなく、「Tomorrow(明日)」の島、というネーミングもよかった。「ファンタジーランド」のお姫様は、何度通っても自分とは遠い物語の人たち、という感覚がついてまわりましたが、「トゥモローランド」の近未来世界は、訪れるたびに「いつかの遠い未来ではなく、手の届く『明日』、こんなにもわくわくする世界がやってくるかもしれない」という期待に胸が膨らみました。
まさかそのほんの10数年後、手のひらに収まる「電話」ひとつで、買い物、カメラ、電車・バス乗車はおろか、世界中の人々との交流までできるようになるとは思いませんでしたけれど。
さて、「スペース・マウンテン」。搭乗口へと向かうエスカレーターもまた、高揚感を高めるつくりになっています。このエスカレーターで下から撮影すると映え写真が撮れるので、「自撮り」という文化がなかったその昔は、後ろに並んでいるゲスト(知らない人)によく「写真撮ってください〜」と、頼んでいました。そもそも、シャッター式カメラでは自撮りはできませんしね。
しかし、あまりにも混んでいると、写真撮影のために間隔を空けることが憚られます。そんなときは、「スペース・マウンテン」のエスカレーターに酷似している東京駅の中央線エスカレーターにて“「スペース・マウンテン」ごっこ”をしていたものです。
ちなみに当時、「すみません、写真撮ってもらえますか〜?」と預けたカメラは、スマホではなく「写ルンです」という使い切りフィルムカメラでした。この「写ルンです」が、今また流行しているようで、時代は巡るものだと感慨深く思います。
トゥモローランドでは、キャストがイベント限定のオリジナルシールも配っていました。しかし、アトラクション付近にいたキャストに尋ねると、もう規定枚数を配り終えてしまったとのこと。
焦りましたが、「トゥモローランド内のキャストはみなシールを持っているので、ほかのアトラクションに行ったらあるかも」と言われ、「スター・ツアーズ」のキャストの方に聞くと、まだシールが残っていました! グッジョブ!
2024.04.16(火)
文=相澤洋美
写真=佐藤 亘