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新しいやぐらは本物の木でつくられた

 「屋外放飼場D」には、双子が登ったり降りたりできるように、以前から擬木(ぎぼく)などを設置していますが、新たなやぐらも設置しました。双子が成長していることもあり、行動の選択肢を増やすためです。

 新しいやぐらは杉でできています。その下に従来からあるやぐらの支柱は擬木です。

 双子は、休園日の3月18日(月)に初めて新しいやぐらの所へ。上野動物園によると、双子は最初、やぐらに警戒するそぶりを見せたものの、においを入念にかいだり、体をこすりつけたりして、興味しんしんの様子だったそうです。

 筆者が3月22日(金)に観覧したときは、シャオシャオが新しいやぐらの上を悠然と歩いていました。すると、レイレイが従来からあるやぐらに登って、シャオシャオの真下に来たのに気づいたのか、そちらに降りてレイレイとじゃれ合い始めました。

ハンモックの設置は?

 やぐらは日よけや雨よけにも役立ちます。お昼寝にも使えるかもしれません。筆者は、シャオシャオが新しいやぐらの下(従来のやぐらの上)ですやすや眠っているのを観覧したことがあります。筆者はまだ観ていませんが、新しいやぐらの上で眠った可能性もあります。

 現在、上野動物園にいる全4頭のパンダは西園で暮らしていますが、双子の姉で昨年2月21日に中国へ渡ったシャンシャン(香香)は東園にいました。シャンシャンが東園の屋外で眠るときは、ほとんどやぐらの上か木の上でした。

 シャンシャンはハンモックにも乗っていましたが、西園にはハンモックがありません。西園の遊具などの設置は「これで終わりということではなく、ハンモックもつくるかもしれませんし、ほかの要素も加えるかもしれません。(担当の職員が)様子を見ながら随時、検討していくようです」(大橋さん)。

 双子はすくすく育っていますが、少し気になることも。筆者は昨年以降、シャオシャオがのけぞる動きを繰り返すのを何度も目にしました。常同行動のようにも見えます。また、レイレイは時おり後ろ向きに歩いています。上野動物園によると明確な理由は明らかになっておらず、「いろいろな工夫をしながら、なるべくパンダに負荷をかけない飼育をしていきたいと思っています」(大橋さん)とのことです。

 双子の動きはストレスなどと関係ないのかもしれませんが、もし何か良くないことがあるとしたら、新たなやぐらなどの環境エンリッチメントや双子の別居が好影響をもたらすかもしれません。

 新たなステップを踏み出すシャオシャオとレイレイ。健やかな成長を願います。

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中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo

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2024.04.13(土)
文・写真=中川美帆