肝斑治療薬としても、化粧品の成分としても注目される「トラネキサム酸」。そもそもどんな働きがあるの? 飲むのと塗るのではどっちが効く? トラネキサム酸に関する素朴なギモンから「白髪が増える」という噂まで、皮膚科医の髙瀬聡子先生に聞きました。
【疑問1】トラネキサム酸ってもともとお薬って本当? どんな肌悩みに効くの?
髙瀬 本当です。「肝斑治療の内服薬」として、現在もクリニックで用いられます。トラネキサム酸の主な働きは、炎症を鎮静する「抗炎症作用」なんですね。肌内部でメラニンが生成される最も初期段階の炎症を防ぐことで、肌の赤みや未来のシミを予防する働きがあります。
――風邪を引いたときに処方されるトラネキサム酸は、美容皮膚科で処方されるものとは違うんですか?
髙瀬 同じものです。喉の炎症を抑えるお薬として、風邪の時などに処方されます。美容目的でトラネキサム酸を日常的に摂取している方は、風邪を引いて医療機関にかかる場合、医師に伝えて頂けると安心です。過剰摂取を防ぐためですね。
【疑問2】トラネキサム酸は、外側から塗っても効果があるの?
髙瀬 美容成分としてのトラネキサム酸は、「エイジングケア全般」に力を発揮します。肌内部の微弱な炎症を鎮静する働きがあり、老化の予兆を初期の段階でブロックするからですね。
ただし、こと「シミ」をターゲットにする場合、直接肌に塗るのは、還元作用を持つビタミンCのほうが効率的かもしれません。トラネキサム酸配合の化粧品は、シミだけに限らず「あらゆるエイジングサインを、長期的にケアする」ものとお考え頂けたらと思います。
2024.04.04(木)
文=宇野ナミコ