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狂犬病ワクチンを接種

 パンダの健康診断は、季節に関係なく、随時実施しています。その一つは糞の検査。野生のパンダの回虫感染率はほぼ100%との報告があるため、糞を検査して感染をチェックしています。検査のほか、回虫用の駆虫薬もエサに埋めるなどしてパンダに与えています。投薬という面では、竹にダニが混ざることがまれにあるため、ダニ予防の薬をパンダに塗ることもあります。

 また、中国では犬ジステンパーウイルス感染症や狂犬病の発生が比較的多く、万が一、野良犬が入り込むなどしたらパンダも感染する恐れがあるため、パンダに予防接種をする傾向にあります。上野動物園で飼育するパンダには予防接種をしていませんが、2023年2月21日に中国へ渡ったメスのシャンシャン(香香)には「中国へ帰るとなると危険性があるので、帰る前に狂犬病ワクチンを打っています」(獣医師)とのこと。

 ジステンパーウイルスなどにもちゃんと抗体価があるか、もし感染しても重症化しないか確認してからシャンシャンを中国へ送り出したそうです。

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中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo

パンダワールド We love PANDA

定価 1,650円(税込)
大和書房
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次の話を読むパンダグッズの企画&販売に施設管理 可愛いに偏らない情報発信に命名…膨大なパンダにまつわる仕事を紹介

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2024.03.17(日)
文・撮影=中川美帆