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 上野動物園が2023年10月29日に開催した学生向けセミナー「飼育係だけ!? 動物園でパンダと働くシゴト案内」は、パンダに関わるさまざまな仕事を伝え、視野を広げてもらおうと企画されました。セミナーの様子を中心に、上野動物園のパンダにまつわる仕事を4回にわたり紹介します。

» #1 調整係
» #3 獣医師
» #4 そのほか


屋外&午後のほうが竹を見る目が厳しくなる

 上野動物園では現在、4頭のジャイアントパンダを飼育しています。飼育係(正式名称は「公益財団法人東京動物園協会 恩賜上野動物園 飼育展示課 西園飼育展示係」)の主な仕事は給餌、観察、公開、清掃。給餌では、とりわけ主食の竹をパンダにたくさん食べてもらおうと工夫しています。

 パンダは多くの竹を食べないと必要なエネルギーを得られず、お腹の調子を崩すこともあるのに、竹を選り好みします。上野動物園では2023年10月末時点で、18歳のリーリー(力力)に約65kg、18歳のシンシン(真真)に約62kg、2歳で双子のシャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)に約88kgの竹を毎日あげていますが、食べるのはこの一部です。

 「パンダが何を基準に竹を選んでいるのか、味なのかにおいなのか、まだ分かっていないため、私たちはどんな竹を好んで食べているのか常にチェックすることが大切です」と飼育係は話します。

 上野動物園にいるパンダの竹の好みは、季節、時間帯、場所、竹の節の数などで変わるそう。例えば、室内よりも屋外、午前よりも午後(夜間を除く)のほうが竹を見る目が厳しくなりがちです。

 そこで飼育係は、パンダが「よく食べそう」「まあまあ食べそう」「あまり食べなさそう」と竹をランク付けして、屋外では室内よりも高いランクの竹を多めに与えるなどしています。竹の組み合わせも考えます。低いランクの竹だけを与えても、パンダはあまり食べませんが、高いランクの竹と組み合わせれば「良い竹を食べた後の勢いで調子がついて、単体ではあまり食べてくれなさそうな竹も食べてくれることがあります」(飼育係)

2024.03.17(日)
文・撮影=中川美帆