「当時、病気を治すには、主に祈祷が行われていましたが、歯の痛みだけはどうしようもなかったようで、やっぱり最後には抜歯するんですね。また、平安の世では、和歌で感情を表現していて、これはSNSに写真をアップする感覚に近いと思いました。いい写真に『いいね』がつき、拡散されるのと同様に、いい和歌にも人の関心が集まる。現代も平安時代も人間の営みは変わらないことがよくわかります。今回は、華やかなイメージの平安時代の裏側も書かせてもらいました。そこも愉しんでもらえたら嬉しいです」

さわだとうこ 1977年京都府生まれ。2010年に『孤鷹の天』でデビュー。20年『駆け入りの寺』で舟橋聖一文学賞、21年『星落ちて、なお』で直木賞を受賞する。

月ぞ流るる

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2024.02.10(土)
出典元=オール讀物「 2024年1月号」