はるな 専門学校ではそういう実務的なことはあまり教えてもらえないので、ぜひマンガで共有したいというか。
――開君は才能を見出す目を持っている一方、闇雲に若い子を応援しているのではなく、情熱があって、ちゃんと努力も感謝も出来る子ならと明言しています。そこも刺さった部分です。
はるな そうなんですよね。例えば、売れっ子の女優さんのことを「顔が綺麗で芝居が上手いから成功したんだ」ってみんな思っているけれど、そんな能力を持った人はゴマンといて、大多数は美しいまま消えてゆく。
成功のカギは「いかにそこにしがみつくか」にあって、才能よりも食らいつく力というか、そっちが重要だなと思うんです。ファッション業界だけでなく、マンガの世界もそうだし、いろんな分野でそう言える気がします。
早く、皆さんにこの結末をお見せしたい!
――5巻のラストについてお伺いします。終盤、開君の希望に満ちたモノローグがあって、その後とんでもない一波乱がありますよね?
はるな この先もお話が続くからこそというか、全然終わらねえよ?って感じですかね(笑)。とはいえ、何かしらの区切りはつけなきゃいけないのと、媒体的にホラーっぽいものを求められている気がしていたので、あの終わり方になりました。希望のある終わり方にしても引きにはならないという打算もあります。
――話せる範囲で、今後の展開についてお聞かせ願えますか?
はるな ここまでのジャン君は不穏な空気だけ出していましたが、ここからようやく彼の本当の姿が見えてきます。そして、開君が究極の選択を迫られます。そこで開君が何を選択していくのか……。
――ひー、怖いです!
はるな 4巻まで読んだ方からも、「本当に怖い」と言っていただくことが多くて。でも、4巻時点では私自身は何も怖くないつもりで描いていたので、「これからもっと怖くなります。ごめんなさい!」と。
ただ、怖さの種類がちょっと変わってくるかもしれません。もちろん、ホラーとして描きたい訳ではなくて、最終的には人生に還元して役に立つものが描きたいんです。ひたすらエンタメに徹した作品も役に立つし、そういうものが描ける人は心から尊敬しますけど、どうやら私はそっちのタイプのマンガ家ではない。それに、本当に人間の面白い部分を描けば、自ずとエンタメにもなるとも思っていて。
2023.12.19(火)
文=山脇麻生