この記事の連載

 M-1やキングオブコントなど賞レースのチャンピオンも出演するお笑いライブの制作会社の代表が、どんな仕事にも役立つ仕事のコツを大公開する『笑って稼ぐ仕事術 お笑いライブ制作K-PROの流儀』(児島気奈/文藝春秋)。同書から、今をときめく人気芸人たちが勢ぞろいした伝説のライブのエピソードを抜粋し、転載します。(全4回の2回目初めから読む

打ち合わせ後に届いた「怒りのメール」

 10月には初の顔合わせが実現しました。場所は新宿の、今はもうなくなってしまった居酒屋でした。今思い出しても、あの日の決起集会のメンバーの豪華さは身震いします。本当に東京ライブシーンのスターが勢揃いしていました。最後に、磁石の永沢さんが、「今回のことは世間をビックリさせたいから、まだ絶対に内緒にしといてね!」と言って、FKD48最初の顔合わせは終わりました。

 そして次の日、永沢さんから怒りのメールが来ました。

「流れ星の瀧上(現・たきうえ)が、ブログに昨日のこと書いてる! あれだけ止めたのに!」

 今なら「瀧上さんらしい」と笑えますが、当時は血の気が引きました。

 そのときの瀧上さんのブログのタイトルが『始動』で、それがFKD48の第一回本公演のタイトルになりました。

 こうして芸人ユニットFKD48がスタートし、ようやく、K‒PROの出番になりました。

 各事務所に「K‒PROが制作に入る【芸人主導】のユニットライブを始めます」と連絡して出演交渉を始めたり、開催する劇場を探したり(一回目公演の劇場は「座・高円寺」になりました)、オープニング映像の編集を発注するなど、ライブ本番に向けて動き始めました。

 メンバーが色々な事務所に所属しているので、出演交渉はかなり大変でしたが、売上金額の振り分けなど細かい部分も伝えて、なんとか全組出演OKをいただきました。開催を発表したときの反響はすごかったです。交渉を苦労したかいがありました。そして、チケットはもちろん、発売直後に完売しました。

 さあ、あとは中身だけ。何をするかは、すでに永沢さんが決めていました。

「せっかく面白い芸人ばかり集めたんだから、めちゃめちゃ面白いユニットコントをやろう。しかも、自分たちの単独ライブかそれ以上に面白いやつを作ろう」

 当時、打ち合わせのときに毎回急に飛んでくる「児島さんはどう思う?」が怖くて仕方なかったです。色々な芸人さんと何百回も打ち合わせしてきましたが、FKD48の打ち合わせが一番「頭の回転の速さ」が必要で、この打ち合わせでかなり勉強させていただきました。

 いよいよ本番当日。当日券を求めるお客様が殺到して、抽選で販売することに。

 メンバーは全員スーツで登場し、トークもユニットコントもクオリティが高くて、所々にサービス精神満載、さらに全てのコントが繋がっている……お客様にとっては至福の時間だったと思います。終わったあと、私も数人のお客様から「ありがとう! 最高でした!」と握手を求められました。

2023.12.24(日)
著者=児島気奈