そして、どうやら私が次に行く海外イベントはアメリカらしいと聞かされます。カリフォルニア州で「恋のミクル伝説」を歌うかもと言われて絶句。関羽がさじ加減を知らない!
150万部以上増える部数、「このアニメがすごい!」で1位。「よくも悪くも耳に残る、毒か薬のどっちかになる」声は印象に残り…
『涼宮ハルヒの憂鬱』は、はじめにプロデューサーが言ったとおり、ムーブメントを起こしました。アニメが放送された4月から7月までの期間だけで原作は150万部以上部数を増やしたと聞いています。「このアニメがすごい!」(宝島社)では2006年に放映された作品の中で1位に選ばれたそうです。
私も、この年に新設された声優業界の賞、第1回「声優アワード」で、サブキャラクター女優賞をいただきました。いわゆる助演女優賞です。ハルヒ役の綾ちゃんが新人女優賞を獲ったのも象徴的だったと思います。
授賞式も、受賞者たちみんながドレスアップして参加する華やかなものでした。さらに、私は無縁のはずだった音楽業界からも賞をいただきました。日本レコード協会からゴールドディスク認定の記念盾を2つ。身に余るものって、こういうことを言うんだな。作品と、曲を作ってくれた人たちと、一緒に歌った2人のおかげの賞だけど、自分の名前が刻まれたその盾は綺麗で魅力的でした。
メインで参加した作品が放送され始めると、業界の人たちが名前と声を覚えてくれます。特に私の声は、「よくも悪くも耳に残る、毒か薬のどっちかになる」声です。そして名前の漢字が簡単なのに、ちょっと読みにくいせいで、より印象に残ったそうです。「ムラ…コ?」。アニメやゲームのオファーを、どんどんもらえるようになっていきました。
キャラクターが『ジョジョ』の「スタンド」のように側にいてくれる感覚
それらの作品に付随するイベントは、もちろん顔出し出演。アニメDVD発売記念のトークショーだったり、新作ゲームの告知ライブだったりしましたが、私たちが登壇すると観客の皆が予想を上回る歓声で迎えてくれました。『ふたご姫』の時と違って、キャラクターではなく私たち声優の登場に沸いてくれるのです。みんなの喜ぶ顔がより間近に見られるんだから、そりゃあうれしいです。
2023.12.11(月)
著者=後藤邑子