放映終了直後の2006年7月、私たち3人は、日本武道館で開催される『AnimeloSummerLive』(アニサマ)への出演が決まりました。アニサマは、前年の2005年から始まったアニメソングのライブイベントです。そこで「ハレ晴レユカイ」を披露するのです。
ステージ上の「歓声が降ってくる」感覚
私たちは日本武道館の奈落からポップアップ(舞台の下から飛び上がる装置)でステージに登場しました。武道館は収容人数も多く、また客席の傾斜が大きいので、ステージ上では「歓声が聞こえる」というより「歓声が降ってくる」感覚でした。自分の人生で想像もしていなかったことが次々と起こります。夢見ていた場所よりも、はるかに遠い、そしてジャンルの違うところに来ていると感じました。
しかし、このステージすら、まだ出発点でした。私たちSOS団は世間のムーブメントにどんどん押し出されていきます。目が回るくらいの華やかさと忙しさ。時には翻弄されながら、時には(主に私が)音を上げながら、それでも私たちはそのなかでたしかに楽しんでいました。
たくさんの無茶振りに、「そんなこと言われても……」という戸惑いを5人で共有できたのもよかったのだと思います。今でも皆とは連絡を取り合える状態です。何かあった時にはお互いに声をかけられる。話していると、いつも「ムーブメント? はて?」とキョトンとしながらプロデューサーの話を聞いていた頃の状態、最初のフラットな気持ちに戻ることができます。お互いの転換期、もしくは出発点を知っているメンバーというのは、特別な関係かもしれないですね。
海外からも続々届く出演依頼。初めての地は…
さてその『ハルヒ』ムーブメント以降、私自身も、イベントやグラビアなど、声優としてのアフレコ以外の仕事が劇的に増えていきました。これほどのタレント活動は老舗の大手声優事務所「バオバブ」でも前例のないことです。
「イベントがすごく多い!」
2023.12.11(月)
著者=後藤邑子