魅惑のグルメと、驚くべきスパマッサージのクオリティ

 マカオは知る人ぞ知るグルメタウン、ということをご存じでしょうか? 16世紀から20世紀後半までポルトガルの影響を受けたマカオの食は、中国の伝統料理とポルトガル料理が溶け合った実にユニークで奥深いものです。W マカオ スタジオ・シティの食は、そんなマカオらしく、五感を刺激して舌の肥えた日本人を虜にする絶品ばかりでした。

 まずは、モダン広東料理を提供するスペシャリテレストラン「ディーバ(DIVA)」。こちらは、おそらく東京にあれば、予約の取れないお店になることは間違いない、というくらいのレベル。最近流行りのミシュラン星付き料理店でよくありがちな、日本人が頭を捻るような不思議なお料理ではなくて、もう一度食べたいと思わせる納得の広東でした。

 クアラルンプールやドバイ、南京、マカオなどの5つ星ホテルレストランを渡り歩いた経験をもつシェフ、イデン・ヤップさんが手掛ける料理は、伝統的な広東料理の要素が65%、残りの35%はマカオ伝統料理をミックスした未体験の広東ヌーベルキュージーヌといえるもの。中国からのゲストが多いこともあり、潮州や湖南料理にも通じるスパイシーな味わいも加味し、さらに漢方に近い植物など医食同源の要素も含まれていて、味わうほどに感動が迫る稀なるレストランです。

 まずいただいたのが、アミューズの柑橘系ゼリー。目にも楽しく、涼し気な彩りに期待感が高まります。

 前菜プラターは4品。左からカリカリチャーシューの黒キャビアのせ、フォアグラのチェリー固め、白バイ貝のワサビソース、クリスタルビネガーボール。塩味、クリーミーなフォアグラ味、スパイシーなワサビ、シャキッと爽やかなお漬物のような歯ごたえの野菜……完璧なバランスの取り合わせでした。緑の野菜の前菜は、酸っぱい味わいで口直しとなっています。

 なんと最初に出てきた食前酒は、信州諏訪の真澄。爽やかさを感じるライトなテイストの日本酒で、これが前菜によくマッチし、その料理がさらに引き立てられていました。

 そして、定番の広東点心が3種。ピンクの点心はエビ蒸し餃子、黒はナマコと海鮮の蒸し餃子、茶色のものはキノコの蒸し餃子。どれも味わい深い、納得の点心です。

 スープは魚の胃袋と、中国ハーブ「デンドロビウム」という蘭の花の茎のようなものが入ったもので、このデンドロビウムは胃の油を流す役割もあるそうで、やさしい塩味でヘルシーな1品。

 メインは和牛のソテー。これが至福の逸品。柔らかく、日本人の味覚によく合う和風&中華味。豆乳風仕立ての野菜入りスープも一緒に。

 次の締め的な麵料理が、エビソースで仕上げたピリ辛風味。エビの卵も振りかけてあり、これが緑豆粉でできた太めの春雨にうまく絡み、感動のお味でした! ここで麺料理が来るとは、幸福感があふれ出ます。

 最後のデザートは、レモンとレモングラスゼリーとシャインマスカットやキュウイ、ブルーベリー添え。

 完璧なランチコースに、心からの舌鼓。食事がおいしいことで知られるWホテルですが、香港とはまたひと味違うマカオならではの広東料理。リピーターになりたいと思わせるレストランでした。

極上のスパタイムで日頃の疲れをリセット

 もうひとつ心から感服したのは、アウェイスパ(AWAY SPA)の全身マッサージのテクニックでした。コンセプトは‘デトックス’で、メニューはフェイシャルと全身が用意されています。筆者が受けたマッサージは、指圧とスウェーデン式をミックスさせたような内容でした。施術前、自分がいちばん集中して揉んでほしい箇所を最初に伝えます。他のスパでは、5~10分ほど、集中してやってくれるところが多いのですが、ここでは、実に丁寧に患部の凝りがなくなるまで、これでもか、というくらい何度ももみほぐしてくれて、これは初めての経験でした。とくに手や腕が、これまでのどのマッサージより、独自で丁寧。筆者の場合は、肩とデコルテ、腕が、パソコンの使い過ぎでコチコチになっていた、ということで、最後にどうしてデコルテが凝るのか、ということも説明していただきました。

 コンフォート・ゾーン(Comfort Zone)というプロダクトを利用しており、そのマッサージ術もそこで学ぶそうで、今回のセラピストはマカオのそばの中国の方でした。エクスパートのセラピストが7名。1カップルルームと5つのシングルルームがあります。60分で1,280マカオパカタ、90分は1,680マカオパカタ。

W マカオ スタジオ・シティ W Macau-Studio City

所在地 Avenida de Cotai, Macau, China, 999078
電話番号 +853-88651188
客室数 557 (うち127がスイート)
料金 1室 1,058マカオパカタ~(2名利用)
https://www.marriott.com/en-us/hotels/mfmwh-w-macau-studio-city/overview/

2023.11.24(金)
文・撮影=鈴木幸子(らきカンパニー)
協力=W マカオ スタジオ・シティ