また江南のクラブでDJをしていたが、その腕っぷしと顔の広さから犯罪組織を牛耳ることになるチョン・ギチョルを、『イカゲーム』で一躍世界に知られることになったウィ・ハジュンが演じる。
どのような役作りが行われたのか、主要キャスト3人を取材
物語は、1995年から始まる。エリートコースに乗った麻薬保安官の妻ユ・ウィジョンと暮らす地方の警察官のパク・ジュンモは、義父母に妻との格差について小言を言われながらも、平凡な日々を送っていた。一方、裏社会でのしあがってきたギチョルは麻薬犯罪に手をつけようとしていた。その麻薬犯罪を一網打尽にすべく、潜入捜査官としてジュンモに白羽の矢が立つのだった……。
潜入捜査官を扱った作品は、警察官と犯罪組織の人間が、お互いに真実を知られてはいけないと欺きあう姿に緊張感が宿る。今回の撮影でも、どのような役作りが行われたのだろうか。先日来日した主要キャスト3人に話を聞いた。
監督とたくさん話し合いながら作り上げた
チ・チャンウク「撮影が始まる段階で、12話全話すべての台本を受け取っていたわけではないんですが、全体的な流れについては共有していました。監督や脚本家とも密にお話をしましたし、特に後半の流れについては監督と絶えずコミュニケーションをとって、演技の強弱の調整をしたりしながら作り上げていきました」
ウィ・ハジュン「やはり、ギチョルという人物の感情を掴むことは難しかったです。もちろんこれは、どんなキャラクターを演じるときにも言えることですね。この作品では、絶えず疑いの目を持っていたり、自分の心の内を知られてはいけなかったり、またときには強い信頼の情を抱いたりもしますので、感情を掴むのは特に難しかったんですが、監督にしっかりリードしていただきました」
イム・セミ「私も、ここは心の内を表すべきところなのか、ここは隠すべきなのかということを常に自問自答して演じました。これは、俳優イム・セミの気持ちではなく、ウィジョンという役の気持ちなのかということも自分なりに常に確認し、監督と本当にたくさん話し合いながら作り上げていった現場でした」
2023.10.04(水)
文=西森 路代