なお、エアコンの内気循環は冷却効率に優れるが、車内の換気ができないので、長時間そのままにしておくとCO2濃度が上昇し、眠気や頭痛を引き起こすことがある。ある程度車内が冷えたら、外気導入に切り替えるとよい。

車を離れる前に、今一度車内の確認を

 繰り返しになるが、どのような方法をとるにせよ、車を離れる際に子どもやペットを車内に置き去りにするのは厳禁である。窓を開けてもサンシェードをしても、車内が危険な温度になることは避けられない。

 さらに、夏場はもちろん、比較的気候の穏やかな日であっても、車内温度は想像以上に上昇する。JAFが最高気温23℃の日に実施したテストでは、車内温度が最高で48.7℃に達している。たとえ数分であろうが、あるいは曇りや雨の日であろうが、車内放置は御法度と肝に銘じたい。

 生き物のほかにも、ライターやアルコール消毒液などは、高温により容器が破損する可能性もあるので、車内に取り残さないようにしよう。その他、スプレー缶や飲料缶、ペットボトル、リチウムイオンバッテリーなど、急激な温度変化の影響を受けやすいものがないか、車を離れる際には必ずチェックするようにしたい。

 真夏の車内は、わずかな時間のうちに「命にかかわる温度」へと達する。急激な温度上昇が生き物や物質に及ぼす影響は、しばしば我々の想像を超えてくる。「まぁ大丈夫だろう」と思わずに、しっかりと多角的に対策を講じておくことが、夏場のお出かけには欠かせない。

2023.08.30(水)
文=鹿間羊市