“七色の海”の潮だまりに温泉発見!

 最初に訪れたのは穴(けつ)之浜。入り口付近は多少道のていがありましたが、すぐに私の身長を超える高さの草むらを分け入ることに。この島では植物の勢いが猛烈で、年2~3回は草を刈らないとあらゆるところが草に覆われてしまうとか。足もとが見えない中、恐る恐る傾斜を下り、途中でガクンと落ちるところもありましたが、探検隊気分で突き進むこと約10分。ようやく穴之浜に出ました。

 穴之浜の海はエメラルドグリーン。ところどころで色の濃淡が変わっています。硫黄岳の流紋岩から溶け出したアルミニウムや鉄やケイ素が溶け出し、海水と反応しているからだそう。潮流や風の具合などで色が変わるため、“七色の海”と呼ばれています。

 岩の合間を歩き、温泉を探します。潮だまりをよく見ると、ふつふつと気泡が湧いているところがありました。手を入れてみると、温かい。周りを見ると、何カ所かそうした温泉だまり(?)があるようです。

 潮の干満の具合にもよりますが、ゴロタ石を組んで温泉をためて、お湯に浸かるのが穴之浜流だとか。けれど、大きな岩盤にできたくぼみに温泉がたまっている場所(脛ぐらいの深さですが)をたまたま見つけたので、ちゃぽんとひと風呂いただくことに。

 太陽の下で、エメラルドグリーンの海を眺めながらの湯浴み、とてつもない開放感です(かなり浅いけれど)。温泉をペロリとなめてみたら、海水のしょっぱさの中に昆布だしのような旨みも感じました。気のせい?

 続いては、東温泉。こちらは海のギリギリ近くに築かれた温泉で、2つの湯船が作られているため、野湯とは言えないかもしれませんが、誰でも気軽に利用できます。温泉成分は、強酸性の硫黄明礬(みょうばん)泉。やや緑色を帯びた透明なお湯で、こちらはなめてみると、かすかな渋みも。

 波しぶきの向こうに屋久島を望みます。絶景かな、絶景かな。ただし、強風や海が荒れた時は波にさらわれる危険もあるそうなので、注意が必要です。

2023.08.26(土)
文・撮影=古関千恵子