そうした意味では、液晶に比べて手間がかかる上、どんな用途にもオールマイティではありませんが、目が疲れにくかったり、バッテリーが長持ちしたりと、液晶にはないメリットもまた数多くあります。そのどちらを取るかはユーザの考え方および用途次第ということになるでしょう。

 

AmazonやAppleも参戦予定の注目ジャンル

 カラーE Inkは新しい技術である一方、価格が非常にこなれているのも特徴です。今回紹介している「BOOX Tab Mini C」は、容量64GBで69,800円と、同容量のiPad mini(78,800円)よりも安価。また本製品の大型版に当たる10.3型の「BOOX Tab Ultra C」は、モノクロ版が79,800円なのに対して91,800円と、価格差は15%程度に抑えられています。

 こうした新しい技術を採用したデバイスは、出始めは一般ユーザが手を出せないほど割高なこともしばしばですが、カラーE Inkの場合、すでに3世代ほどのモデルチェンジを経ていることもあってか、すでに競合製品と比べてもネックにならないレベルまで価格が下がっているのはメリットです。

 実際に使ってみる限り、用途はやや絞られるものの、液晶画面を長時間見続けていると目が痛くなってくる人など、フィットするユーザは多いはずです。また今回の製品をはじめ、スタイラスによる手書き入力に対応している製品も多いことから、手書きノートとしても活躍してくれます。

 近い将来、Amazonなどの大手が採用してくる可能性があるのはもちろん、去年の春にはAppleが折りたたみデバイスへの採用を前提にテストを行ったとする海外のリーク情報も(真偽は不明ですが)報告されているこのカラーE Ink、新しいモノ好きな人だけでなく実用性を重視する人も、当面注目しておいてよいかもしれません。

2023.08.22(火)
文=山口真弘