PCやスマホに使われている液晶画面は、バックライトで画面を発光させているため、長時間見ていると目が疲れることが欠点です。こうしたことから、かねてより注目を集めているのが、紙のような質感を持つE Ink電子ペーパーです。

 E Ink電子ペーパーは、有名なところではAmazonの読書端末「Kindle」などにも使われ、動作速度なども世代を重ねるたびに改良が加えられています。ただこれまではモノクロがほとんどで、タブレットの代替として使うには限界がありました。

 しかし近年、フルカラーのE Inkパネルを搭載したデバイスが登場し、じわじわと普及しつつあります。今回はそのひとつ、Onyx Internationalから新たに登場したカラーE Ink搭載タブレット「BOOX Tab Mini C」を使って、現時点でのカラーE Inkの実用性をチェックします。なお書籍のサンプルには、唐沢なをき氏の「二十一世紀科學小僧」(文春デジタル漫画館)を使用しています。

iPad miniより安いタブレットとしても

 この6月に新たに登場した「BOOX Tab Mini C」は、iPad miniとほぼ同じ7.8型の画面を持ったAndroidタブレットです。Google Playストアからアプリをインストールして利用できるなど、画面にカラーE Inkを採用していることを除けば、至って一般的なタブレットです。実売価格も69,800円(64GB)と、同容量で78,800円のiPad miniよりも安価です。

 

 E Ink電子ペーパーのメリットは、同じ内容を表示したままであれば電力をほとんど消費せず、それゆえバッテリーが長持ちすることです。その一方で、画面を書き換えるたびに残像が発生するため、動画のように頻繁に書き換えるコンテンツの表示には向きません。

 こうした特性から、E Inkデバイスは、同じ画面を一定時間にわたって表示し、書き換える時は画面単位で一気に書き換える、電子書籍やドキュメントの表示に向いています。今回の「BOOX Tab Mini C」は4096色が表示可能なカラーE Inkを搭載しており、電子書籍のカラー図版や、色分けされたドキュメントの表示に適した製品です。

2023.08.22(火)
文=山口真弘