肝心のカラーの鮮やかさは?
注目となるカラーの品質について見ていきましょう。かつてのカラーE Inkは、モノクロの一部に色がついて見えるというレベルでしかなく、お世辞にも色鮮やかとは言えませんでしたが、今回の「BOOX Tab Mini C」は最新世代のカラーE Inkパネル「Kaleido3」を採用し、ワンランク上の鮮やかさを実現しています。
こうしたことから、通常のE Inkではモノクロでしか表示できなかったコミックのカラーページの表示はもちろん、技術書などによくある色分けされた表やグラフもきちんと判別できます。ふだんからモノクロのE Inkを見慣れていると、色のついたE Inkの画面がきちんと書き換わることに、ちょっとした感動を覚えます。また動作も高速です。
もっとも色の鮮やかさは液晶には及びません。これは液晶のように背後からバックライトで照らしているわけではないことが、大きな理由として挙げられます。
ただ直射日光下で極端に見づらくなる液晶と違って、カラーE Inkは印刷物を見ているかのようにはっきりと見え、また画面に背景が映り込むこともありません。用途によってはこれは大きな強みになります。
一方で、画面を切り替える時にページがネガポジ反転するようなE Ink独特の挙動は、このカラーE Inkでも変わりません。設定によって軽減させることは可能ですが、そうなると直前の画面の残像が残りやすくなってしまいます。表示内容が瞬時に切り替わる液晶にはない特性で、慣れるまではかなりの違和感があります。
これらを目立たせないためには、使い方を選ぶのが重要です。例えばウェブページをスクロールする場合、数行ずつじわじわスクロールすると残像が目立つため、なるべく一気にスクロールし、そのたびリフレッシュさせたほうが快適です。このように、ユーザ自身がカラーE Inkの特性を理解して、使い方を変えてやる必要があります。
2023.08.22(火)
文=山口真弘