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突然のてんかん

 相談した人の中には「感染の可能性は低いから、一緒に飼っても大丈夫」って声もあったけど、でもなぁ……。保護ネコ活動を始めたときに「家にいるネコ様にとってもいい状況でお世話する」と決めたしな……。しゃーない、腹をくくろう。もしネコエイズが陽性のままやったら、兆丹だけの部屋がつくれる家に引っ越そう。うん、それが一番ええ。

 その後、幸いにもネコエイズが陰転してホッとしたのもつかの間、今度は助六がてんかんを発症してしまって……。最初はめちゃくちゃ衝撃やった。突然「ギニャー!!」って叫び声が聞こえたと思ったら、手足をピーンと伸ばした助六が、泡を吹いて全身をビクビクさせとるんやから。

 偶然、YouTubeで予備知識があったから、てんかんやとわかったけど、通常10分程度でおさまるはずの発作が全然落ち着かない。大あわてで救急病院に電話して、白目をむいてけいれんをし続ける助六を抱いたままタクシーへ。もうホンマにパニック状態で無我夢中で、心臓のバクバクが止まらんかった。

 薬を入れたら発作はすぐに落ち着いたけど、お医者さんは「発作の時間が長いと脳に酸素がいかなくなるから、障害が残るかもしれない」と。実際、退院後の助六は目が見えなくなってて、足どりもフラフラな状態。4~5日ほどで回復してきたものの、性格が変わったというか別のネコ様になってしまったような感じでした。だっこしても暴れへんし、僕の腕の中で寝てくれるし。ここぞとばかりに抱きまくったけど、入院のストレスでフケだらけになった体や、どことなく不安そうな様子を見ていたら胸の奥がキュッと苦しくなった。

 助六のてんかんは先天性の脳の奇形が原因やから今後も発作は起こるし、そのつど病院で薬を入れんと助からへん。少しでも発作のリスクを減らすため、一軒家に引っ越して助六がストレスなく過ごせる個室を用意したり、緊急時に備えて見守りカメラを設置したり。この本の撮影をモデルネコ様にお願いしたのも助六の体調に配慮してのことです。手間やお金なんていくらかかってもいい。僕にできることは、とにかく全部やってあげたい。

2023.08.11(金)
『保護ネコに幸せにしてもった僕の推しネコ活』(主婦の友社)より抜粋
著者=ミキ・亜生
監修=今泉忠明
リード文=CREA編集部